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クロカナブンの背中に写るもの [コウチュウ目]

このところ天候も不安定で少し暑さが遠のいた感がある。

雑木林の昆虫酒場も、カブトムシやカナブンの姿も見られず閑散としてきた。
場末の酒場だ。

そんな寂しい酒場に、ただ1頭「クロカナブン」がいた。
無心に樹液を舐めているその背中に写った緑色とアクセントのショウジョウバエ、美しくもあり少し寂しさを感じさせた。
去りゆく夏の思い出とちょっとセンチな秋の訪れ・・・。
クロカナブン0907_1.jpg



















2016年9月7日 東京都
コウチュウ目コガネムシ科 クロカナブン        CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ

高次寄生って? キスジセアカカギバラバチ [ハチ目]

歩いていると園路脇の葉で赤い色がちらちらと目に入った。
大きさは1cmほどで肉眼では小さく赤くて翅のあるものが葉から葉へ飛び移っている、何だろう?って感じ。
普段はスルーするのだが、この日は取りあえず数枚カメラに収めた。キスジセアカカギバラバチ0907-1_1.jpg




















容姿からハバチの仲間かと調べると、カギバラバチ科の舌を噛みそうな「キスジセアカカギバラバチ」のようだ。
名前の通り腹先がカギ状に曲がっているらしいが、そこは写せなかった。

このハチは寄生バチで、中でも寄生バチや寄生バエ、スズメバチなどに高次寄生をするらしい。
高次寄生という言葉は初めて聞いた。

母バチは植物に産卵し、その卵が葉と共にチョウやガの幼虫に食べられ体内に取り込まれ、さらにその幼虫が寄生バエや寄生バチに寄生されてようやく最終的な寄主にたどり着く、何とも気が遠くなるような・・・、どんな確率なのだろう。
そのためにたくさんの卵を産むそうだ。

今でも種が存続しているのだから、自然界でこのハチの生態が連綿と繋がっていることが凄いなぁと思うのだった。
キスジセアカカギバラバチ0907-2_1.jpg



















2016年9月7日 東京都
ハチ目カギバラバチ科 キスジセアカカギバラバチ  CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ


夏から秋へ 気付けば足元に モリオカメコオロギ [バッタ目]

暗い林内を歩いていてふと目にとまった小さな黄色。
先のキタマゴタケならどんと目に入って来るが、これは小っちゃくて控えめだ。
家にはキノコ図鑑が無いので種はわからないが、褐色の落ち葉の布団からにょきっと現れた小さな黄色い妖精としよう。
頭にはお友達の虫さんが・・・。
てんとう虫さんからキツネノハナガサの幼菌ではないかとコメントをいただきました。)
キノコ0903_1.jpg



















這いつくばって撮っていると足元のコオロギに気が付いた。
おぉ、よく逃げずにそこにいたものだ。
モリオカメコオロギ0903-1_1_1.jpg



















このところセミの声はツクツクボウシが主となり昼間でもコオロギたちの鳴き声が聞かれ、夏の主役と秋の主役が混声合唱で虫の音からも秋の訪れが感じられるようになってきた。
コオロギの仲間は似たものが多く、様々な角度で見なければなかなか種が同定できない。
正面顔を確認したかったのだが、うまく光が回らず・・・。
やはり外付けストロボ1灯では無理がある。
モリオカメコオロギ0903-2_1_1.jpg



















近くには光の加減で金色に輝く産卵管のあるメスもいた。
環境や頭部の模様などから恐らく「モリオカメコオロギ」だろう。
いよいよ夏から秋へ ちょっと寂しいな。
モリオカメコオロギ0903-3_1_1.jpg



















2016年9月3日 埼玉県
バッタ目コオロギ科 モリオカメコオロギ        CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ


労働寄生 オオトガリハナバチ [ハチ目]

8月に設置した竹筒を久しぶりに見ると、6本中3本の筒の入り口が土で蓋がされていた。
以前に出入りをしていたので、恐らくオオハキリバチと思われる。
残る空家はどうだろうとみていると、1匹のハチがやって来た。
オオトガリハナバチ0907-1_1.jpg



















花で時折見かけるヤノトガリハナバチを一回り大きくしたようなお尻の尖ったハチ。
空家の筒の中へ入って行った。
オオトガリハナバチ0907-2_1.jpg



















少しすると出てきたが、くるりと向きを変えて今度はお尻から入って行った。

調べるとこのハチは「オオトガリハナバチ」だった。
オオハキリバチが作った巣に卵を産み付け、孵化した幼虫はオオハキリバチの幼虫を殺して巣をのっとってしまう。
自分では巣を作らず、他の巣や食料を奪う習性を労働寄生というようだ。
オオハキリバチの巣には、ハラアカヤドリハキリバチも労働寄生する。

今回観察した行動は、初めに頭から入って中の様子を探り、一旦出てお尻から入って卵を産み付けたと思われる。
オオトガリハナバチ0907-3_1.jpg



















オオトガリハナバチが去った後、同じ筒にオオハキリバチがやって来た。
オオハキリバチ0907-1_1.jpg



















やって来たというより自分の巣に戻ってきたということ。
まさか、他のハチが自分の巣に卵を産んでいるとは思いもしないであろう。
オオハキリバチ0907-2_1.jpg



















2016年9月7日 東京都
ハチ目ハキリバチ科 オオトガリハナバチ、オオハキリバチ  CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ


真っ黒なハナムグリ クロハナムグリ [コウチュウ目]

オトコエシの花が見ごろを迎えているが、その花に集まっていたハナムグリの仲間たち。
その中に、真っ黒なハナムグリが数頭いた。
最も多いコアオハナムグリと同じくらいの大きさで、黒い体に明るい褐色の斑がある「クロハナムグリ」。
クロハナムグリ0907-1_1.jpg



















初夏の5月位から姿が見られるが、その頃は体に土が付いた個体が多い。
成虫で土中で越冬しているからだろうか?
今日、数頭が見られたが皆土などの付着がない綺麗な体、漆黒に光によっては金色に見える模様が美しい。
オトコエシの花は小さく花粉や蜜は少ないからだろう、とにかく花の上を忙しく動き回っていた。
クロハナムグリ0907-2_1.jpg



















2016年9月7日 東京都
コウチュウ目コガネムシ科 クロハナムグリ       CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ


松葉に変化 オナガグモ [クモ目]

林内を歩いていると、クモの糸がやたら顔にかかるようになった。
鬱陶しいので小枝を振り回して歩くがそれでも万全ではない。
最も嫌なのがジョロウグモの大きな網。
これにだけはかかりたくないので目配りが大変。

そんな事で目を凝らしていると暗闇に何やら蠢くものが。
オナガグモ0903-1_1.jpg



















長い脚と長い腹部、まるでエイリアンのようだがこれでもクモ。
樹間に粘性の無い糸を張り、その糸を伝わってくるクモを食べるクモ食い、大きさはメスで大きくて3cmほど。
オナガグモ0903-2_1.jpg



















見ていると右を向いたり左を向いたりと巧みに糸をさばきながら何かと忙しく動き回っている。
オナガグモ0903-3_1.jpg



















近づきすぎて警戒したのか、松葉のような待機ポーズに。
仲間のクモを捕まえた瞬間や食べているところをぜひ見てみたいなぁ。

こんな面白い形、生態の不思議なクモがいることを、いったいどれだけの人が知っているのだろうか?
オナガグモ0903-4_1.jpg



















2016年9月3日 埼玉県
クモ目ヒメグモ科 オナガグモ               CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ

コナラの葉を食い尽くす!ツマキシャチホコ [チョウ目]

下を見て歩いていてふと顔を上げると目の前に艶やかなオレンジ色の枝が現れた。
何?
それは枝先にたわわについた「ツマキシャチホコ」の幼虫だった。
親はたくさんの卵を産み付けるのだろう、毎年この時期幼虫たちが大量発生してコナラの葉を食い尽くす。
先日記載したモンクロシャチホコとほぼ同時期、都会の公園などでも幼虫たちが見られる。
枝とぶつかる前に、何気に気付いてほっとした。
毒がないとはいえ、黒とオレンジは自然界では危険色。
さらに白く長い毛におおわれているこの集団に顔をうずめることは想像に耐えない。
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成虫はその体を折れた小枝に似せた擬態の名手。
地面にいたらまず見つけることは難しいだろう。
似た種にタカサゴツマキシャチホコ、ムクツマキシャチホコがいるが、ご本家?ツマキシャチホコは翅頂の黄白色紋の内縁が赤色なので同定しやすい。
ツマキシャチホコ_1.jpg



















2016年9月3日 埼玉県
チョウ目シャチホコガ科 ツマキシャチホコ  
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ、EOS50D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ


暗い林床に存在感 キタマゴタケ [菌類]

暗い林床をあるものを探して歩いていて見つけた鮮やかな黄色の「キタマゴタケ」。
三脚を持ち合わせていなかったので、手持ちで暗い写真の連発。
そのうち一瞬日が差した。
同じ撮影条件でも圧倒的にその存在感が輝いた。
キタマゴタケ0903-1_1.jpg



















辺りを見回すとあちこちでにょきにょき。
傘を開いているのもあったが、日が陰ってしまい暗い写真に。
未熟な腕では、三脚持ってくれば良かった・・・と後悔。
タマゴタケは真っ赤で美しいが、このキタマゴタケも負けず劣らず絵になるなぁ!
キタマゴタケ0903-2_1.jpg



















2016年9月3日 埼玉県
ハラタケ目テングタケ科 キタマゴタケ  EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ

ナツとアキ [トンボ目]

今日、あるものを探しに訪れた雑木林。
暗い林内を抜けた尾根道で見つけた顔からお尻の先まで真っ赤に色付いた「ナツアカネ」。
このあたりではそれほど数は多くはないので嬉しい出会いだ。
赤トンボといわれるトンボの中でも見られる種としては、このナツアカネとコノシメトンボは体全体が濃く明るい赤でとても印象的だ。
ナツアカネ0903_1.jpg





























薄暗い道、足元がぬかるんでいたので注意して歩いていると、道の真ん中に生えたササにとまっていたのは「アキアカネ」。
一生をほとんど移動しないで過ごすナツアカネとは異なり、成熟するまでの夏の間は羽化した場所から高い山へ移動して過ごし秋になると赤く色付いて里へ下りてくる。
赤トンボの代表格だが、ナツアカネに比べるとちょっと地味、腹部だけが柔らかな赤色だ。
この個体、いったいどこの山に避暑に行っていたのだろうか?
トンボと話が出来るなら、ぜひ聞いてい見たい。

9月に入り暦の上ではもう秋。
これからどんな赤いトンボたちが見られるか楽しみ!

今日のお目当ては残念ながら見つからなかった。
また次回ということ。
アキアカネ0903_1.jpg



















2016年9月3日 埼玉県
トンボ目トンボ科 ナツアカネ、アキアカネ EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ

サクラが丸坊主 モンクロシャチホコ [チョウ目]

ここ数日、気付けばあちこちのサクラの幼木が葉を食われて丸坊主になっていた。
犯人は黒い体に長い黄白色の毛の芋虫、「モンクロシャチホコ」の幼虫集団だ。
長い毛が一見毒々しいが無毒。
無毒といわれている種でも、人によってはアレルギーを引き起こす可能性があるのでさわらぬ神にたたりなしか。
蛹化場所を探しに続々と木を下りている。
都心の公園では、苦情が相次ぐ不快害虫だが、すぐにいなくなるので寛容な心で見て欲しい。

この毛虫はツツドリの大好物。
もうそんな季節なんだな。
モンクロシャチホコ0902_1.jpg






















成虫はもふもふでなかなかのデザイン!
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2016年9月2日 東京都
チョウ目シャチホコガ科 モンクロシャチホコ  RICOH WG-4、CX-4