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ワスレナグモ 幼体の分散 [クモ目]

谷戸の低い草地上のかなりの範囲に無数の真っ白いクモの糸が張り巡らされていた。
これは「ワスレナグモ」というクモのしわざだ。
ワスレナグモ0728-1.JPG



















ワスレナグモは畑や草地、芝生や庭園などの植え込みに蓋の無い竪穴を掘り、夜間通りかかった昆虫や小動物を捕える。全国的に減少しているとされ環境省レッドデータブックで準絶滅危惧、東京都でも北多摩で同じく指定されている希少種だ。
fieldの多くの谷戸の草地でこのしわざが見られることからこの種の貴重な生息地と言っていいだろう。

さて、この糸は巣穴から出てきた仔グモたちが草に上って糸を出してぶら下がり、風で近くの草にたどり着くとまた草を上って糸を出してぶら下がる。これを繰り返すことでこの糸の連鎖が出来上がるようだ。
従って糸の元をたどっていけば巣穴が、その逆をたどっていけば運が良ければ糸の先端部にまだ移動分散中の仔グモたちに出会える。この糸で獲物を捕るわけではないので、糸の途中にはクモの姿は無い。
ワスレナグモ0728-2.JPG



















今日は運よく先端部にまだ仔グモたちがたくさん集まっていた。
先に移動した仔グモの糸をたどってあとからあとから多くの仔グモたちが移動していくのでこんな網のような状態になるのだろう。
ワスレナグモ0728-3.JPG



















仔グモの大きさは2~3㎜といったところだろうか。
糸がかかっている植物シマスズメノヒエの黒い葯の大きさと比べるとその大きさがわかるだろう。
こうして分散移動して地面に降りた後はこの糸だけが残される。
この糸が草を覆う風景は、毎年この時期の風物詩でもある。
ワスレナグモ0728-4.JPG



















2021年7月28日 東京都 クモ目ワスレナグモ科 ワスレナグモ

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シロスジショウジョウグモ [クモ目]

ヤツデの葉をめくっていると小さな赤いものが。
先に書いた赤いアブラムシもそうだが、緑の葉にはたいそう目立つ。
これはクモの仲間の「シロスジショウジョウグモ」のメスで、今の時期はまだ幼体と思われる。
体色の個体変異が大きく黒色型、赤褐色型、黒色に白や黄色の縦線があるものなど様々なようだ。
赤色に脚や腹部の一対の黒斑が美しい。
名のショウジョウ=猩々にはいくつかのが意味あり、髪が赤く良く酒を飲む赤ら顔の想像上の動物だとか大酒飲み、子供の顔を赤く塗った能面などなど、この赤褐色型に白の縦線の個体を見て名が付けられたのだろう。
残念ながら白の縦線の入った個体はまだ見たことが無いのでぜひ見てみたい!
シロスジショウジョウグモ0211.JPG



















2021年2月11日 東京都 クモ目コガネグモ科 シロスジショウジョウグモ

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ウロコアシナガグモの幼体か?またはエゾアシナガグモの幼体か? [クモ目]

コナラの幹の窪みに「ヨコヅナサシガメ」の越冬幼虫を見つけた。
群れていることが多いが周りを探しても仲間はおらず1個体のみでこれはこれで何だか寂しい。
ヨコヅナサシガメ0121.JPG



















冬の観察対象のあの虫を探してヤツデの葉の神経衰弱。
お目当てはご本家マエムキダマシことクロスジホソサジヨコバイだ。
今シーズンかなりの葉をめくってきたが未だに見つけられないでいる。

この日めくった葉裏の主脈に寄り添う奇麗な緑色が。
ウロコアシナガグモ幼体0121-1.JPG



















クモの仲間であることに違いないが、さて。
「ウロコアシナガグモ」の幼体のように思うがどうだろうか。
そうであればクモの中でもとてもお気に入りの種の一つだ。

先日受けた健康診断の結果が届いた。
昨年血液脂質で再検査だったがほったらかしにしていたら今回はクリア。
相変わらず貧血で6か月後に再検査が2年連続だが、3年前は医師の診断要だったので少しはまし。
肝臓のΓ-GTもぎりぎりでOKととりあえずホッとしたのだった。

追記
クモの専門家新井浩司さんから以下のご指摘をいただいた。
『この姿だけでも「ウロコ」か「エゾ」の二択まで絞れるのは間違いないです、そこまでは堅いです。が、そこからが困難で、特に幼体では正確には無理という感じになってしまいます...。orz
地域環境でいいますと、高地・山地だと「エゾ」の方が優勢で、暖地・低地だと「ウロコ」の方が優勢な傾向は有るのですが、きっちりとは別れていないのです。都内だと、区部とかは「エゾ」は少ないと思いますが、狭山丘陵辺りまで来るとどっちも結構居るかと思います。』
ということで、エゾとはエゾアシナガグモの事でウロコのそっくりさんで成体のメスは外観では区別が難しく、オスはウロコの腹部背面に赤い模様があるので区別できるという。
従ってこの個体はウロコアシナガグモかエゾアシナガグモのどちらかの幼体という事!
新井さん有難うございました。
ウロコアシナガグモ幼体0121-2.JPG



















2021年東京都 カメムシ目サシガメ科 ヨコヅナサシガメ、クモ目アシナガグモ科  ウロコアシナガグモ

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トリフン母さん 獲物をゲットしたね! [クモ目]

先日紹介したナゲナワグモ科の仲間でfieldで比較的よく見られる「トリノフンダマシ」。
今年はオオトリノフンダマシが多く、ようやく数日前にススキの葉裏で見つけた。
名前の通り一見鳥の糞にそっくりだが、鳥の糞なら葉の表側にあってしかるべきなのでは・・・。
トリノフンダマシ0829-1_1.jpg



















この仲間、結構辛抱強くてとまっている葉をいじりまくってもじっとしていて動かない。
しかし今日はちょっとひつこかったか、我慢ならず動き始めた。
トリノフンダマシ0829-2_1.jpg



















さっと逃げるかと思いきや同じ場所をグルグルと回るだけで、何がしたいかよくわからないところがまた可愛い!
トリノフンダマシ0829-3_1.jpg



















帰って撮った写真をよく見てみると、お腹や顔のあたりにガの仲間の鱗粉がたくさん付いていた。
ここ数日に蛾を食したようだ。
夕方から夜にかけて同心円状の丸い網を張り蛾などを捕える。
数年前にこのクモの捕食を撮ろうと夕方から2時頃まで粘ったが、残念ながら網さえも張らなかったことを思い出した。

この日写真を撮るのを忘れたが、少し上の葉に丸い卵のうが一つ。
これからいくつ産むか、継続観察してみよう!
トリノフンダマシ0829-4_1_1.jpg



















2020年8月28日 東京都 クモ目ナゲナワグモ科 トリノフンダマシ

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丘陵にもいた、マメイタイセキグモ [クモ目]

田んぼ沿いのオギが背の高さを超えて伸びている。
そんなオギの葉を見ていると風が吹いて葉が翻った一瞬、葉裏の黒いものが目に入った。
おおっ!何?
ひょっとしたら・・・
マメイタイセキグモ0827-1.JPG





























葉をひっくり返してみると、狭山丘陵では初めて見る「マメイタイセキグモ」だった。
ナゲナワグモ科に属するクモで、夜間に粘り気のある球、粘球の付いた糸を垂らし、回転させて蛾などを誘い近づくと粘球をぶつけて捕食する。
漢字で書くと豆板井関蜘蛛で腹部が駄菓子の豆板に似ている事と発見者の井関氏から名付けられたようだ。
マメイタイセキグモ0827-2_1.jpg



















ごつごつした腹部はとても面白い形をしている。
鳥の糞などに似せているのだろうか?
マメイタイセキグモ0827-3.JPG



















よく見ると頭の上に鬼のような1本の小さな角があった。
クモの大きさが1cm弱なのでその角もとても小さいが、下の写真で見つけられるだろうか。

今まで見たことの無い粘球を振り回すシーン、ぜひ見てみたいなぁ。
マメイタイセキグモ0827-4.JPG



















2020年8月27日 東京都 クモ目ナゲナワグモ科 マメイタイセキグモ

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ヤハズ、オスクロと言えば [クモ目]

池の脇のオギの葉に「ヤハズハエトリ」のメスがいた。
草地のススキやオギ、湿地のヨシなどのイネ科の葉をすみかとしている腹部が細長い1㎝弱のハエトリグモで好きな種の一つでもある。
メスは淡い褐色の体に腹部に濃い褐色の帯がある。
ヤハズハエトリ0731_1.jpg



















ヤハズハエトリのオスはメスと全く体色や模様が異なり黒地に頭胸部に白い花びらのような模様、腹部に白い矢筈状の模様がある。
以前に撮ったオス。
こんなに違うと知らなければまるで別種と思うだろう。
ヤハズハエトリオス1.JPG



















上のメスがいた場所から少し離れたところに若齢の「クロコノマチョウ」の幼虫たちがいることに数日前から気付いていた。今日もいるかなと見ると2匹が顔を見合わせていた。
クロコノマチョウ0731_1.jpg





























少し根元の方で動くものがあった。
見るとヤハズのメスが何とクロコノマチョウの幼虫を捕食していたのだった。
口元に見える猫耳の顔にやるせなさを感じるも、クモも食べなければ生きていけない厳しい世界に納得せざる得なかった。
帰って写真をよく見ていると姿形はヤハズのメスそっくりだが、腹部の褐色の帯に黒斑が2対ある。
メスにそっくりでこの帯に黒斑があるのは「オスクロハエトリ」という種だそうだ。
すみかもヤハズと同じなのでとても紛らわしい。
オスは黒いが白い矢筈模様が無いので見分けやすそうだ。
だがまだ見たことは無い。
オスクロハエトリ0731_1.jpg





























2020年7月31日 東京都 クモ目ハエトリグモ科 ヤハズハエトリ、オスクロハエトリ、チョウ目タテハチョウ科 クロコノマチョウ

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赤い飾り糸のゲホウグモの卵嚢 [クモ目]

1週間ほど前、アズマネザサの葉の裏で久しぶりに真新しいと思われる「ゲホウグモ」の卵嚢を見つけた。
卵嚢はクモの種類によって様々で、このクモのものの特徴は卵を包んでいる白い糸の上を色の付いた飾り糸(正式な名称があるのかもしれないが)で覆っている点だ。
ゲホウグモ卵嚢0714-1.JPG



















今回のものは赤い飾り糸で5月に見たのものは黄色だった。
親蜘蛛を探したが、残念ながら今回もその姿を見ることは出来なかった。
ゲホウグモ卵嚢0714-2.JPG



















2020年7月14日 東京都 クモ目 コガネグモ科 ゲホウグモ

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小さくても母さんそっくり オオトリノフンダマシのメス幼体 [クモ目]

ヤナギにクワガタでもいないかと枝を見ていると、隣のヌルデの小さな葉陰に黒い影が。
マクロレンズを付けたカメラのファインダーを覗いてみると、小さな小さな「オオトリノフンダマシ」だった。
オオトリノフンダマシ0702-1_1.jpg



















大きさは5mmもないが色といい腹部の目玉のような模様といい見た目はメスの成体そっくりで、写真だけ見れば一見区別がつかないのではないだろうか。
まるで生き写し。
近くの別の葉にも同じくらいの大きさのを見つけた。
姉妹か?
オオトリノフンダマシ0702-2_1.jpg



















オスの成体はこれよりもさらに小さかったと思い、今までの写真を見返したが見つからなかった。
撮ったと思っていたけど撮ってなかったのかなぁ・・・。
今年の夏はオスを探そう!
オオトリノフンダマシ0702-3_1.jpg





























2020年2日 東京都 クモ目ナゲナワグモ科 オオトリノフンダマシ

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松葉? いやいや、オナガグモ [クモ目]

マツの実生がたくさん生えた場所であたりを眺めていると、幾本ものクモの糸が風に漂っていた。
その一本を目で追っていくとマツの実生にたどり着いた。
さて、誰の糸なのか?
1本の松葉が不自然にクモの糸に絡んでいた。
ふふ~ん、君か!
オナガグモ0610-1_1.jpg



















見ているとその松葉がぐにゃりと動き出した。
松葉の正体は「オナガグモ」だった。
腹部が長いからオナガグモで、粘着性がない糸を数本張ってそれに伝ってきたクモを食べるクモ食いのクモ。
そのシーンをまだ一度も見たことが無いのでぜひ見たいなぁ。
オナガグモ0610-2_1.jpg



















大きさは2㎝ほどあり時期的にも成体だろう。
周りを見渡すとあちこちでその姿が見られた。
都市部の雑木林の林縁などでも見られるので、ちょっとエイリアンっぽいこのクモを探してみてはいかが!

いまさらながらにクモは昆虫か?
昆虫の一般的な定義は、体が頭部、胸部、腹部に分かれ胸部から出る6本の脚があるということ。
一方のクモは体が頭胸部と腹部に分かれ脚は8本、なので昆虫ではない。
昆虫はクモの餌食になる印象があるがではクモは最強か、というとそうでもない。
クモも昆虫に食べられたり、ツツクモバチの仲間やカマキリモドキの仲間などクモに寄生する昆虫もいるのだ。
オナガグモ0610-3_1.jpg



















2020年6月10日 東京都 クモ目ヒメグモ科 オナガグモ

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ゴミ屋敷の住人 ゴミグモ [クモ目]

湿地や田んぼの小川沿いで群生して花を咲かせている「クサヨシ」。
1本1本は地味だが、これだけ集まるとなかなかいい景色だ。
撮っている時に何かいるなと思ったが、写真を見ると赤いナナホシテントウが小さなアクセントとなった。
クサヨシ0528_1_1.jpg



















クワの葉上には「シロコブゾウムシ」がいた。
クワで見ることはあまりないので、ここにいるのにちょっと驚いた。
少しして再び見ると、すでに姿を消していた。
シロコブゾウムシ0528_1.jpg



















ヒイラギモクセイの生垣で、「ゴミグモ」の巣を見つけた。
名前の通り張った網の中央縦に食べかすや脱皮殻、枯葉片などをくっつけていて、人間界でいえばまるでゴミ屋敷といったところか。
懐の深い自然界ではゴミ屋敷は問題にならない。まぁ、ゴミの量が違いすぎるが・・・。

さて、この巣のどこにゴミグモ本体がいるかお分かりだろうか?
目を凝らして探して欲しい。
ゴミグモ0604-1_1.jpg



















ゴミとそっくりの体の色と突起のある腹部が景色に体を溶け込ませている。
正解は網の糸が放射線状に出ている中心。
頭を下、腹部を上に向けて脚を揃えてひたすら掛かる獲物を待っていた。
アリに擬態したアリグモに負けず劣らず、ゴミと一体化した見事な技だ。
ゴミグモ0604-2_1.jpg



















2020年5月28日、6月4日 東京都 イネ目イネ科 クサヨシ、コウチュウ目ゾウムシ科 シロコブゾウムシ、クモ目コガネグモ科 ゴミグモ



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