コバネにとってかわったハネナガイナゴ [バッタ目]
田んぼの畔を歩くと目の前から次々とバッタが飛ぶ。飛翔距離はかなりのもの。
「ハネナガイナゴ」だ。
私が初めてこの田んぼに来た時に、ここで見られたのはほとんどがコバネイナゴだった。
たまに見られる翅の長い個体は、コバネイナゴの長翅型だと思っていた。
昨年、あまりにも翅の長い個体が多いので図鑑で調べると、どうもハネナガイナゴのよう。
標本を直翅類に詳しい専門家に送ったところ、やはりハネナガイナゴだという見解をいただいた。
全国的にもコバネイナゴは多く見られるが、ハネナガイナゴは局地的に分布する稀な種だ。
戦後、農薬の使用でほとんどのイナゴたちは田んぼから姿を消したが、その後強い農薬が規制されるにつれて復活したのがコバネイナゴ。コバネより農薬に対する耐性が弱いハネナガイナゴは局地的に見られる程度だったようだ。
ここの田んぼは無農薬、どこからかやって来たのだろうか?
今年も見ると多くが翅の長いハネナガイナゴ。
勢力図はコバネからハネナガにとってかわったようだ。
2016年8月25日 東京都
バッタ目バッタ科 ハネナガイナゴ EOS70D EF100mm F2.8L IS USM
台風9号の被害 [自然]
先日の台風9号は局地的に大きな被害をもたらした。
この地では過去に例のない大雨が降り、あちこちで土砂崩れや家屋の浸水が起きた。
私の知る限り、死者が出なかったことは不幸中の幸いだ。
いつも通っていた谷戸でも林縁の土砂が崩れ、小川を飲み込んで湿地に木々が倒れ込んだ。
写真の左ほぼ1/3の木々は根こそぎ倒れ、湿地の中のいくつかは流れ込んだ土砂で埋まってしまった。
ここでは希少な昆虫たちの姿が見られるが、今後どう復旧するのだろうか?
そんな状況でも湿地周りを歩くと、色々な虫たちが飛び出した。
辺りをじっと見てみると、草の根元でじっとしていた「モンキチョウ」。
すぐそばまで近寄っても全く逃げない。
年に2化する「カノコガ」、2化目のメスも葉裏でじっと動かずにいた。
黒の体とオレンジの紋のコントラストが美しい。
葉上で見つけた「オンブバッタ」のメス。
遺骸は見られないが、今回の風雨でたくさんの虫たちが命を落としたに違いない。
自然の驚異は生き物全てを飲み込んでそれにはだれも抗えない、人も・・・。
今回の台風は、身近にそのことを考えさせる大きなものだった。
また、大きな台風がやって来る。
気を引き締めねば!
2016年8月25日 東京都
チョウ目シロチョウ科 モンキチョウ、ヒトリガ科 カノコガ
バッタ目オンブバッタ科 オンブバッタ
CANON EOS50D EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM/Kenko TELEPLUS MC4、EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内蔵ストロボ
アナアキゾウムシの仲間? [コウチュウ目]
昨日掲載したクロコノマチョウの幼虫がいたススキの葉上に黒い物体が付いていた。
鳥の糞かと思ったが、念のためにとファインダー越しに見ると虫だった。
ゾウムシの仲間だが、前翅が片側欠損している。
どうしてこうなったのだろうか?
1cm前後の大きさだが、敵に襲われたのか?
たたみきれない後翅が痛々しい。
手持ちの図鑑で調べたところアナアキゾウムシ亜科ではないかと思われるが、該当するものが見あたらない。
netで見るとイボイボアナアキゾウムシに似るが食樹がホオノキで離れたところはにあるが近くにはない。
ゾウムシは種類が多く、同定が難しい。
どなたかわかる方教えていただければ幸いです。
文一さん、ゾウムシハンドブックを出す予定はないだろうか?
2016年8月25日 東京都
コウチュウ目ゾウムシ科アナアキゾウムシ亜科 ? EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内蔵ストロボ
久しぶりのうさぎ顔 クロコノマチョウ [チョウ目]
blogを始めた2008年にはあちこちで幼虫や成虫の姿が見られた「クロコノマチョウ」だが、ここ数年、年に数回見られればいい方ですっかり姿を消してしまった。
小川脇のススキの葉裏にいた「クロコノマチョウ」の幼虫。
この日、毎日自然観察をして歩いている方から居場所を教えてもらった。
元来南方系のチョウで温暖化により見られるようになったと思われるが、一時急速に増えたものの様々な要因でその環境に適応した生息数に落ち着いたのだろうか?
ほぼ同時期に急速に数を増やした「アカボシゴマダラ」は、当時エノキのどの実生にも幼虫の姿を確認できたが、今ではなかなか見つからない。先日仕事中に道路脇の2本の隣り合った1mほどのエノキの実生で、10頭近くのステージの異なる幼虫が付いているのを見つけた。
今日、もう蛹になっているかとその場所に行ってみると、あたりの草はすっかり刈られてその姿を確認することは出来なかった。
こういった好む若い食樹の刈取りや寄生などによって爆発的な増加は抑えられたと思われる。
うさ耳のクロコノマチョウの幼虫、個人的な好みからもう少し見られるといいのだが・・・。
2016年8月26日 東京都
チョウ目タテハチョウ科 クロコノマチョウ EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内蔵ストロボ
夏終盤の昆虫酒場 [季節]
あと1週間もすれば9月、夏もそろそろ終わりか・・・。
雑木林の昆虫酒場も訪れるメンバーが少し変わってきた。
8月10日の酒場では、数の上でメインのお客は「カナブン」だった。
他に1頭だけ「シロテンハナムグリ」。
カナブンより少し遅れて現れる「クロカナブン」も数頭いた。
取り巻きで「ヤマトアブ」。
今日、同じ場所を訪れてみると樹液を舐めている甲虫はすべてクロカナブンだった。
クロカナブンは東京都レッドリストの準絶滅危惧種に指定されているのだが、ここでは珍しい種ではない。
1頭「ヒメスズメバチ」が来ていたが、クロカナブンを蹴散らして独占するような力関係ではないようだ。
巣の大きくなる今の時期でも他のスズメバチの姿が見られないのには違和感がある。
樹液の出ている裏側には翅の傷んだ「サトキマダラヒカゲ」がいた。
やはりクロカナブンに追い立てられたのだろうか?
時間帯などでたまたまだろうとも思うが、それでも種の少なさは夏の終わりを感じさせた。
2016年8月10日、25日 東京都
コウチュウ目コガネムシ科 カナブン、シロテンハナムグリ、クロカナブン
ハチ目スズメバチ科 ヒメスズメバチ
ハエ目アブ科 ヤマトアブ
チョウ目タテハチョウ科 サトキマダラヒカゲ
CANON EOS50D EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM/Kenko TELEPLUS MC4/430EXⅡ、EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内蔵ストロボ
オオスズメバチの狩り [ハチ目]
何だろうと近づくと、横から大きな羽音。
「オオスズメバチ」もこの獲物を見つけたようだ。
あっという間に獲物に食らいついたかと思うと地面に落下。
落ちたところを探すと、コガネムシは「コフキコガネ」だった。

コフキコガネは必死に逃げようとするが、オオスズメバチはしっかりと相手を掴んで離さない。
毒針と大きな顎で攻撃しているようだ。
そのうちコフキコガネの動きが鈍くなったと思ったら、ほとんどの脚が噛み切られていた。

コフキコガネのような甲虫の仲間でいかに固い外骨格を纏っていても、オオスズメバチの強固な顎にはかなわない。
見つかったら最後なのだ。

あっという間にコフキコガネは解体され、オオスズメバチはコフキコガネの胸だけを持って飛び去った。
この間わずか7分、あっという間の惨劇だった。
何と自然界は恐ろしく厳しいのだろうか。

2016年8月10日 東京都
ハチ目スズメバチ科 オオスズメバチ
コウチュウ目コガネムシ科 コフキコガネ CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ
アブラゼミ [カメムシ目]
大きくなってきた蟷螂たち [カマキリ目]
林縁を歩いていると葉上にいた「オオカマキリ」。
翅がまだ小さいので幼虫だが、大きさから終齢、あと1回脱皮すれば立派な大人に。
こちらには緑色型のオオカマキリの終齢幼虫。
よく見ると右の後ろ脚が欠損し腹部も少し曲がっていた。
大人になれば草はらではほぼ無敵のオオカマキリだが、幼虫時代は敵も多かったと思われるが、ここまで大きくなれば生涯を全う出来る可能性はかなり高いだろう。
しかし厳しい自然界、油断大敵である。
林内で見つけた「コカマキリ」。
一足先に成虫になっていた。
見つけた時にはすでにこちらに眼を飛ばして警戒態勢。
この敏感さが厳しい自然を生き抜くために彼らが身に付けてきた感覚なのだろう。
2016年8月17日 埼玉県
カマキリ目カマキリ科 オオカマキリ、コカマキリ CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内臓ストロボ
ニセコナラシギゾウムシ? シギゾウムシはややこしい! [コウチュウ目]
小さな谷戸の入り口にある大きなコナラだったかクヌギだったかの下草にいたシギゾウムシの仲間。
何時もの通り知見のないものは撮ってあとで調べようと撮影して帰ってきた。
候補に挙がったのは、コナラシギゾウムシ、ニセコナラシギゾウムシ、クヌギシギゾウムシ、クリシギゾウムシ。
どれもよく似ている。
これらを識別する詳細が記載している図鑑を持ち合わせていないので持っている図鑑で絵合わせや、netで調べてみた。
識別点は、足の太さ、口吻の長さ、口吻についている触角の位置、触角の第1、第2中間節の長さのようだ。
口吻の長さと付いている触角の位置から「ニセコナラシギゾウムシ」と同定したが、どうだろうか?
シギゾウムシの仲間はなかなか手ごわいとは思っていたが、やはりしっかり同定できる図鑑が必要だ。
念のために、明日職場の図鑑で確認してみよう!
同じようにクヌギやコナラのどんぐりに産卵し、終えたら枝ごとどんぐりを落としてしまう「ハイイロチョッキリ」。
調べてみると産卵したドングリを落とすのはハイイロチョッキリだけで、他のシギゾウムシたちは落とさず、卵から孵った幼虫は枝に付いたどんぐりを食べて育ち、自然落下するのを待つようだ。
枝付きのどんぐりが落ちているのはすべてハイイロチョッキリのしわざだった。
確かにハイイロチョッキリはオトシブミ科、シギゾウムシたちはゾウムシ科と科も違うのだ。
おざなりにしてきたこと、調べればまだまだ新たな知見は多い。
やはり手間を惜しまず。
2016年8月10、17日
東京都、埼玉県
コウチュウ目ゾウムシ科 ニセコナラシギゾウムシ、オトシブミ科ハイイロチョッキリ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内臓ストロボ、EOS7D SIGMA 17-70mmDC MACRO HCM
小諸高原美術館 [自然]
先日、小諸高原美術館で開催されているSSPの海野会長の写真展に行ってきた。
早く着きすぎたので、美術館のある飯綱山公園を散策。
高台にある美術館周辺からの眺めは格別。
草はらから無数のキリギリスの鳴き声が聞こえるが、まったく姿を見つけることが出来ない。
目と耳の衰えに本当にかなりショックだ!
歩いているとか細いトンボがいくつも目の前を過ぎる。
「オツネントンボ」のようだ。
無数のウスバキトンボが飛ぶ中で、草にとまっていたのは「ナツアカネ」。
アキアカネかと思っていたが、写真を見たらナツだった。
この日は真夏日でとにかく日差しが強く、ナツアカネもオベリスク。
こんな開けた草はらで見られるのではないかと思っていたら、足元から飛び去った「ジャノメチョウ」。
なかなか止まってはくれないが、この日は偶然、アザミに吸蜜に訪れているのを見つけた。
写真展は同時開催している生き物写真リトルリーグも含めてじっくり堪能させていただいた。
私の持っているカメラでは簡単に深度合成は出来ないが、そのリアルさに考えさえられた。
2016年8月9日 長野県
トンボ目アオイトトンボ科 オツネントンボ
トンボ目トンボ科 ナツアカネ
チョウ目タテハチョウ科 ジャノメチョウ
CANON EOS50D EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM、EOS70D EF100mm F2.8L IS USM