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ホソミイトトンボ越冬型の産卵 [トンボ目]

先日、クロスジギンヤンマを撮影した後で別の谷戸の田んぼにイトトンボを見に行った。
丘陵で見られる成虫で越冬するイトトンボは、私の知る限り3種類。
そのうちの1種の「ホソミイトトンボ」だ。
冬の間は褐色の体で林縁で過ごし、春に成熟して色付いて水辺に集まってくる。
夏型と冬型がある。

田んぼ周りを歩くもなかなか見つからない。
まだ早かったかと畔に陣取りじっと水面を見つめていると飛んできた。
3頭ほどが、田んぼの縁を回っているがなかなか止まらない。
ようやく止まってくれたので一枚。
ホソミイトトンボ0426-2_1.jpg



























みな敏感で近寄ると飛んでしまう。
少しするとようやく連結したカップルが1組やって来た。
すくっと立ったオスの直立姿勢が清々しい!
ホソミイトトンボ0426_1.jpg



























このカップルも落ち着きなく止まっては飛び、田んぼの縁を周回している様子。
そのうち水面に浮かんだ草で産卵を始めた。
図鑑「日本のトンボ」(文一総合出版)によると、「水面付近の植物組織内に行うことが多いがしばしば潜水産卵も行う」とある。
ホソミイトトンボ0426-1_1.jpg


















浮かんだ植物に降りてはメスがお尻を付ける行為を繰り返していた。
オスは直立不動、もしくは翅を羽ばたくもメスは全く動じず産卵に集中していた。
この日はこのカップル1組のみ、これから数が増えて田んぼを賑わせてくれることだろう。

ホソミイトトンボは、埼玉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されている。
小さな田んぼだが、この水域がこの種の存続には欠かせない貴重な場所となっており今後も守っていきたい環境だ。
ホソミイトトンボ0426-3_1.jpg


















2016年4月26日 埼玉県
トンボ目イトトンボ科 ホソミイトトンボ
CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM


クロスジギンヤンマ 羽化する [トンボ目]

昨日湿地で観察していると、抽水植物の葉にたくさんの抜け殻を見つけた。
これはクロスジギンヤンマのものだろう。
羽化している個体が見られるのではないかと早朝見に行った。
クロスジギンヤンマ0425_1.jpg



























湿地を見回すと、昨日抜け殻を見つけた近くですでに羽化を終え翅を伸ばした個体を見つけた。
クロスジギンヤンマ0426-1_1.jpg


















伸びて間もない翅は、透き通って光を反射するその美しさはこの時しか見られない贅沢な光景。
複眼も身体もピカピカ!
クロスジギンヤンマ0426-2_1.jpg


















この後30分ほどすると翅を震わせて、林縁のコナラの高い梢に飛んで行った。
もっと早くに来ていれば羽化の瞬間を見ることが出来たのだが、予測が甘く残念だった。
まだ機会はあると思うので、是非再チャレンジしたい!
クロスジギンヤンマ0426-3_1.jpg


















2016年4月25、26日 埼玉県
トンボ目ヤンマ科 クロスジギンヤンマ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM、EF-8-15mm f/4L FISHEYE USM/内臓ストロボ

歩けば舞う アジアイトトンボ [トンボ目]

湿地周りでは未成熟な「シオヤトンボ」が多く見られた。
木柵や白いものの上を好んで止まっているようだ。
シオヤトンボ0425_1.jpg


















最も数が多く見られたのが、「アジアイトトンボ」。
全長3cmほど、細くて小さいのでじっくり見ないと目に入らない。
未熟なメスは鮮やかなオレンジ色なので、緑の草の中ではよく目立つ。
成熟すると不思議と淡い緑色に変わる。
なぜ未成熟時目立つオレンジ色なのだろうか?不思議。
アジアイトトンボメス0425_1.jpg



























警戒心は強く近づくとさっと飛んでしまうのだが、意外に逃げないなぁと思っていたらお食事中だった。
メニューはヨコバイの仲間のよう。
アジアイトトンボメス0425-1_1.jpg


















オスは鮮やかな青。
目立ちそうだが、意外と緑に溶け込んで気付きにくい。
アジアイトトンボオス0425_1.jpg



























目の後ろにある小さな眼後紋が瞳のようで可愛い。
アジアイトトンボオス0425-1_1.jpg


















羽化したばかりの個体が翅を輝かせて飛んでいく。
体も青や赤に色付かず淡い褐色で見るからに弱々しい。
体の色に近い枯れた草にとまったのは、わかってのことだろうか?
アジアイトトンボ0425_1.jpg


















2016年4月25日 埼玉県
トンボ目トンボ科 シオヤトンボ
トンボ目イトトンボ科 アジアイトトンボ
CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM


湿地の賑わい [季節]

いろんな方のblogでトンボの羽化が紹介されていたので、これは行かなければと湿地に足を運んだ。
先日訪れた時にはそれほど緑は感じなかったが、一気に草が勢いを付けていた。湿地0425_1.jpg



















湿地に近づくと、大きな鳴き声をあげて鳥が飛んだ。
「アオサギ」だった。
サギの仲間は飛び立つのに広いスペースが必要なようだが、ここでは問題なく旋回して消えて行った。
アオサギ0425_1.jpg


















水辺の草をじっくり見ていると、緑の中に輝くblueが目にとまった。
「スゲハムシ」、見渡すとあちこちに。
うまくこの輝きを捕らえられなかったのは残念。
スゲハムシ0425_1.jpg


















一方でオレンジ色の輝きが。
春型の「ベニシジミ」の翅の濃いオレンジ色は本当に美しい!
夏型はオレンジがくすんでしまうので今が見頃。
ベニシジミ0425_1.jpg



























草の上でしきりに手足の掃除をしていた「ジョウカイボン」。
いつ見ても犬顔なのが面白い!
ジョウカイボン0425_1.jpg


















葉上にお洒落なハエを見つけた。
マーブル模様の体と翅は初めて見る種だ。
これなら少しはハエのイメージアップにつながるだろうか?
お目当のトンボたちもたくさん見られたが、次回に!
ハエ0425_1.jpg



























2016年4月25日 東京都
ペリカン目サギ科 アオサギ
コウチュウ目ハムシ科 スゲハムシ
チョウ目シジミチョウ科 ベニシジミ
コウチュウ目ジョウカイボン科 ジョウカイボン
ハエ目不明種?

CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM、EF-8-15mm f/4L FISHEYE USM


ヨコヅナサシガメ 羽化する [カメムシ目]

今日も午前中はいい天気!
こんな日は仕事もはかどる。
地上から上空に伸びたように見える雲、飛行機雲のなれの果て?
雲0422_1.jpg



























ソメイヨシノの老木に無数の「ヨコヅナサシガメ」がいた。
南方系のサシガメだが温暖化の影響で北上していると言われて久しく、今や普通に見られる種となっている。
幼虫越冬で、これらは無事に厳しい冬を越して春を迎えた集団だ。
中に赤い個体が・・・。
ヨコヅナサシガメ0422_1.jpg


















終齢幼虫から羽化して成虫になったものが多く見られた。
赤いのは脱皮して間もない個体だ。
時間が経つと黒く色変わりする。
脱皮時が体も柔らかく最も危険なので、敵に襲われないための威嚇の色なのだろうか。
こんな色をしているものに対しては、人間ならまず警戒するだろう。
ヨコヅナサシガメ0422-1_1.jpg



























2016年4月22日 東京都
カメムシ目サシガメ科 ヨコヅナサシガメ

アサヒナカワトンボ [トンボ目]

先日、久しぶりにちょこっと遠征。
八王子市の公園まで足を伸ばしてみた。
着いて少し歩くと園路脇からトンボが飛んだ。
とまったところを確認するとカワトンボの仲間とわかった。
アサヒナカワトンボ0420-2_1.jpg


















狭山丘陵では見たことのない「アサヒナカワトンボ」だった。
頭から腹端まで輝くグリーンの金属光沢、黒い翅脈に透明の翅、白い縁紋がアクセントのとても美しいトンボだ。
日本特産種で、以前はニシカワトンボ、ヒウラカワトンボと呼ばれ、関東地方の一部の個体群はヒガシカワトンボに含められていたようだ。
日本のカワトンボ属にはニホンカワトンボとこのアサヒナカワトンボの2種がおり、単独種のみ生息の地域と2種が混在した地域ではオスメスの翅の褐色、橙色、無色の組み合わせが異なり、一部の地域では白濁タイプが見られる。
トンボの中でも遺伝子の多様性が最も多様な種だと思われる。
東京都のレッドリストでは、アサヒナカワトンボはランク外、ニホンカワトンボは北多摩CR、西多摩データ無しとなっている。
(参考文献:日本のトンボ 文一総合出版)
アサヒナカワトンボ0420-1_1.jpg


















2016年4月19日 東京都
トンボ目カワトンボ科 アサヒナカワトンボ          CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM   

ウスバキトンボ 初認! [トンボ目]

今日もいい天気だった。
あるところでカミキリムシを探していたがなかなか見つからず、ふと隣の畑を見るとトンボが1頭飛んでいた。
この時期ならシオヤトンボかと目で追っていると、「ウスバキトンボ」だった。
早っ!
このところの強風に乗って南から一気にやって来たのだろう。
辺りを見回したが、この1頭のみ。
それにしても早い初認だ。
ウスバキトンボ0420_1.jpg


















2016年4月20日 埼玉県
トンボ目トンボ科 ウスバキトンボ               CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM


コセアカアメンボかヤスマツアメンボか? [カメムシ目]

先日の記事で「コセアカアメンボ」を紹介した。
毎春、この小さな池で見られコセアカアメンボと思い込んでいたが、昆虫写真家 尾園さんのブログ「湘南むし日記」でコセアカとヤスマツが見た目ではわからないと書かれていた。
そういえば私も見た目で判断していたので詳細は確認していなかった。
ということで、今日採集して確認してみた。
まず、先日撮影したのとほぼ同じ大きさのメスにマウントしているカップルから。
コセアカアメンボ0419-1_1.jpg


















種の判断は、柴田自然研究所「シバラボ」さんのサイトからヤスマツのオスの腹部には一対の黒斑があるとのことでこれを確認した。
せっかくカップルになっていたのに可哀想だったが、網ですくってオスの腹部を確認した。
黒斑は見られないのでこのカップルは「コセアカアメンボ」でよさそうだ。
コセアカアメンボ0419_1.jpg


















池を見ていると見た目は変わらないが、明らかに小さな個体がいくつか見つかった。
メスよりオスの方が小さいのだが、それにしてもコセアカのマウントしているオスよりも一回りは小さい。
これを捕まえて確認してみた。
ヤスマツアメンボ0419_1.jpg


















見ると腹部末端に1対の黒斑が確認できたので、これが「ヤスマツアメンボ」と思われる。
この小さな池では、コセアカアメンボとヤスマツアメンボが共存していることが確認できた。
やはり思い込みで記事にすることは非常に危険、曖昧なものはしっかり確認して掲載したいと思う。
前回記載のコセアカアメンボが間違いでなかったことで胸をなでおろしている。
ヤスマツアメンボ0419-1_1.jpg


















2016年4月19日 東京都
カメムシ目アメンボ科 コセアカアメンボ、ヤスマツアメンボ

CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM

春の移ろい [季節]

雑木林の色合いがだんだん緑が濃くなり初夏を思わせる景色になってきた。
12日に撮ったパステルカラーの春の色。
この景色も今では変わっているのだろうな。
春の雑木林0412-1_1.jpg



























よく見ると、右上にブラシのようなウワミズザクラが開花していた。
ここは陽当たりもよいためか、かなり早い開花。
散り始めたヤマザクラとウワミズザクラの競演だった。
春の雑木林0412_1.jpg


















この谷戸でも「ヒメスミレ」が見頃。
ご本家のスミレが開花するのも間もなくだろう。
ヒメスミレ0412-1_1.jpg


















ここで初めて見つけた「シロバナタンポポ」。
在来のタンポポで、あまり見かけないが今年は数か所で新たに見ることが出来た。
今まで見過ごしていたのだろうか?
シロバナタンポポ0412_1.jpg



























あちこちで見られるようになってきた「スジグロシロチョウ」。
この日は敏感でどの個体も近寄らせてくれなかった。
ようやく撮れた1枚。
スジグロシロチョウ0412_1.jpg


















2016年4月12日 埼玉県
スミレ目スミレ科 ヒメスミレ
キク目キク科 シロバナタンポポ
チョウ目シロチョウ科 スジグロシロチョウ
CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ、CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM


シブイロカヤキリとクビキリギス [バッタ目]

先週あたりから陽が暮れると職場周りでジー♪という声が聞かれるようになった。
早速鳴いているところを探してみると、見つかったのは「シブイロカヤキリ」。
成虫越冬し春暖かくなると夜に鳴いて繁殖活動を始めるキリギリスの仲間。
以前はシブイロカヤキリモドキという名前だったが改名されてモドキが取れた。
意外と知られていない種だろう。

同じように成虫越冬して春に鳴きだすキリギリスの仲間で知られているのが「クビキリギス」だ。
赤い口から血吸いバッタとも言われ、噛みついたら首が切れるまで離さないという恐ろしい名前もポピュラーな理由なのだろうか。
シブイロの方が生息範囲が局地的なのかもしれない。

数日前、鳴き声が聞こえたので外に出てみると窓ガラスにクビキリギスがいた。
しかし鳴いているのは皆、シブイロカヤキリ。
シブイロカヤキリの方が、声が濁って低い感じで聞きなれれば区別は容易だ。
いい機会なので両者を捕まえて並べてみた。

まず正面顔。
シブイロは顔が黒く、クビキリは口が赤い。
クビキリギス・シブイロカヤキリ_1.jpg


















身体はシブイロの方がずんぐりしている印象で黒い部分が多い。
シブイロの顔つきはどちらかというと同じ仲間のクサキリに似ているが、クサキリは卵越冬で鳴き始めるのは夏以降なので生態は異なるのだ。
クビキリギス・シブイロカヤキリ-1_1.jpg


















並んでみると頭の尖り具合、翅の長さ、後脚の長さの違いがよくわかる。
シブイロの体色は褐色のみだが、クビキリギスは褐色と緑色がいる。
そっくりさんだがよく見るとここまで違うとは。
やはりじっくり観察することは大事だとつくづく思う。
クビキリギス・シブイロカヤキリ-2_1.jpg


















2016年4月14日 東京都
バッタ目キリギリス科 シブイロカヤキリ、クビキリギス 
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/MT-24EX/430EXⅡ