トラフ [チョウ目]
先日、スゲ観察会に参加した。
スゲは、カヤツリグサ科に属しイネ科と並んで普通に目にする植物だが、多くの種が今の時期に開花結実し、この時期を逃すと同定不能の雑草と化すのだ。
スゲには悪いが超地味な植物、それでも観察会には多くの方が参加されていた。
そもそも、スゲ観察会というのがあまりないようだ。
とこれだけ書いておきながら、スゲの写真は無い。
皆について歩いていると、足元でばたつく蛾がいた。
白地に褐色の筋、翅端にオレンジとなかなか美しい模様だ。
おぉっ、見たことがないようなと撮っておいた。
帰って調べると、「トラフツバメエダシャク」というシャクガ科の蛾だった。
この模様とトラフという名前で思い出したのが、「トラフシジミ」。
そういえば3日前にクリの木で見掛けた。
トラフとはトラの模様に似ていることから名付けられたそうで、確かにどちらもよく似た色の構成である。
さらに歩いていると、ミズキの根元でトラフ模様に似たものを見つけた。
褐色はないが、黒、白、オレンジは同じ配色、こちらは「キアシドクガ」の羽化殻。
ミズキの樹冠では真っ白な翅の多数の成虫が飛び交っていた。
ドクガと名が付くが、成虫も幼虫も毒はないと言われている。
観察会の初めにスゲの人や他の生き物の利用の話があり、スゲを食草としている虫はスゲハムシかスゲドクガくらいしかないのではとのこと。
湿地に生えたマスクサというスゲで、その「スゲドクガ」の幼虫を見つけた。
鮮やかな長い黄色の毛とドクガ特有の毛束がいかにも毒々しいが、この蛾も成虫幼虫共に毒はないと言われているがさすがにそれを試す度胸はない・・・。
この投稿から写真表示を原寸サイズとしてみた。
が何かうまくいかないので、とりあえず今回はこれで。
2016年5月26、29日 東京都
チョウ目シャクガ科 トラフツバメエダシャク、シジミチョウ科 トラフシジミ、ドクガ科 キアシドクガ、スゲドクガ
CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ、EOS70D EF100mm F2.8L IS USM
ベニカミキリ 産卵する [コウチュウ目]
この日も目の前の葉にとまった。
今が発生ピークなのだろう「ベニカミキリ」。
淡い赤色と前胸背の黒斑のコントラストが美しい。
幼虫は枯れた竹の材を食べることから竹林がある里山で多く見られるカミキリムシだ。
竹林の横に竹で作られたエコスタックに集まっていた。
この個体は右の翅に丸い傷がある。
しばらくの間見ていたが、少し目を離した隙に産卵を始めていた。
枯れた竹の節に腹端を突っ込んでいた。
このように節に産卵するらしい。
産卵後、産卵痕を見てみると何やら屑のような物が付着していた。
これは何だろう?
鈴木知之さんの「日本のカミキリムシハンドブック」の記述に「メスは産卵前に、腹部先端の毛束を使って竹表面のごみを集め、節に沿うように卵を産みつけた後、集めたごみで卵の表面を覆いカムフラージュする。」とありこれと同じ写真が掲載されていた。
どうやらこれはそのカムフラージュらしい。
なるほど、ベニカミキリを探す手掛かりになる‘しわざ’の一つを初確認、今の時期これを頼りに探せば出会う確率は高いのだろう。
2016年5月26,29日 東京都
コウチュウ目カミキリムシ科 ベニカミキリ CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM
初めて見たツルアリドオシ [植物]
ん~、今まで見たことがないのでとりあえず撮っておいた。
ラッパ状の花に、葉はテイカカズラのようでもある。
後で詳しい方に聞くと「ツルアリドオシ」だそうだ。
アリドオシといえば別名1両。
MyFieldではアリドオシがないとのことで、代替えにこの種が1両。
10両はヤブコウジ、100両はカラタチバナ、万両はマンリョウ、千両はセンリョウで皆秋から冬に赤い実を付ける縁起物。
これで全て確認したことになる。
マンリョウ、センリョウは自生なのかどこからか鳥が種を運んだという可能性も高い。
ツルアリドオシは花が二つ咲くが、基部の子房は合着していて果実は一つしか実らないそうだ。
実が熟す頃にまた見てみたい。
2016年5月29日 東京都
アカネ目アカネ科 ツルアリドオシ CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM
飛んで来た ウバタマムシ [コウチュウ目]
大きな羽音だったが、スズメバチとは異なる音でその行先に注視した。
クリの葉にとまったのは「ウバタマムシ」。
大型で地味なタマムシだ。
翅の先が折損しているのは、成虫で越冬した厳しさを物語っているのだろう。
成虫は松葉、幼虫も松の材を食べる。
松はその生育環境の減少や松食い虫などの影響で全国的に減るとともに、この種も絶滅が危惧され東京都でも北多摩で準絶滅危惧種に指定されている。
少ししてまた羽音を立てて何かが飛んで来た。
少し小さいが飛ぶ姿はタマムシだったので、アオマダラタマムシかと思ったがやはりウバタマムシだった。
この付近にマツはないが、いったい何が彼らを呼び寄せているのだろうか?
2016年5月26日 東京都
コウチュウ目タマムシ科 ウバタマムシ CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ
イボタは人気のレストラン [季節]
小さく白くてラッパのような形の花でたくさんの虫たちが集まってくる。
チョウの仲間では「ダイミョウセセリ」
翅のきれいな「テングチョウ」は新成虫だろうか。
ちっちゃな「コチャバネセセリ」も。
蛾の仲間で多かったのは「ウスキツバメエダシャク」。
白い翅に淡い色の筋と尾端の赤い斑がシックで美しい。
似た種が多いので、ちょっと同定に自信なし。
プーさん似のもふもふは「コマルハナバチ」のオス。
一番多かったコアオハナムグリかと思っていたが、よく見たら無駄毛の少ない?「アオハナムグリ」。
クリーム色がアクセントの「クロハナムグリ」も常連だ。
ハチに擬態と言われるカミキリの仲間、「キイロトラカミキリ」。
「エグリトラカミキリ」は花粉がご馳走?
今の時期、イボタノキといえばこのゼフィルス 「ウラゴマダラシジミ」。
なかなか姿を見せなかったが、ようやくのお目見えは少し翅が擦れていた。
遠かったのでトリミング。
2016年5月26日 東京都
チョウ目セセリチョウ科 ダイミョウセセリ、コチャバネセセリ
シジミチョウ科 ウラゴマダラシジミ
シャクガ科 ウスキツバメエダシャク
ハチ目ミツバチ科 コマルハナバチ
コウチュウ目コガネムシ科 アオハナムグリ、クロハナムグリ
カミキリムシ科キイロトラカミキリ、エグリトラカミキリ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM
樹液に集まるウラナミアカシジミ [チョウ目]
春型のアカボシゴマダラの姿が遠目で見て取れたが、オレンジ色の小さなチョウも集まっていた。
集まっていたのは「ウラナミアカシジミ」だった。
クリの花の常連だが、樹液も吸うとはあまり印象になかった。
この木は根元から高さ10mほどの間でところどころ樹液が出ており、そこに集まっていたウラナミアカシジミは全部で10頭。不思議と今の時期見られるアカシジミは1頭もいなかった。
たまたまなのだろうか?
数日前からクリの花も咲き始め、いよいよ虫たちのレストランがあちこちでOPEN!
虫たちもそれを撮る人たちも忙しくなってきた。
2016年5月26日 東京都
チョウ目シジミチョウ科 ウラナミアカシジミ
CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ
初夏の湿地 [トンボ目]
このところ仕事と休みは用があってfieldに出れずにいた。
行ってびっくり、草が伸びて膝を超える長さだ。
草をかき分けていると、目の前に未成熟の「ショウジョウトンボ」がいた。
オスは初夏から真っ赤に熟すが、赤とんぼとは呼ばないのでややこしい。
今湿地で最も繁栄しているのが「ハラビロトンボ」。
以前見られたヨツボシトンボは姿を消して、この種がもっぱら縄張りを主張していた。
オスの未成熟は黄色、次に黒、成熟すると腹部が青色に色付く。
「アジアイトトンボ」たちもすっかり成熟して、あちこちで交尾しているカップルが見られた。
未成熟なメスは目を惹くオレンジ色だが、成熟すると落ち着いた色に変身する。
別の湿地で「オオアオイトトンボ」を見つけた。
たどたどしく飛んで、まだ羽化してさほど経っていないのだろう。
これからアオイトトンボやキイトトンボも見られるようになり、湿地も賑やかになりそうだ。
2016年5月26日 東京都
トンボ目トンボ科 ショウジョウトンボ、ハラビロトンボ
トンボ目イトトンボ科 アジアイトトンボ
トンボ目アオイトトンボ科 オオアオイトトンボ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM
ヤマトクロスジヘビトンボ [ヘビトンボ目]
「ヤマトクロスジヘビトンボ」 舌をかみそうな長い名前。
以前はアミメカゲロウ目だったが、今はヘビトンボ目に昇格したのか?
このヘビトンボの仲間には3種いる。
幼虫が孫太郎虫で知られるヘビトンボ、タイリククロスジヘビトンボ、そしてこのヤマトクロスジヘビトンボ。
丘陵で見られるのはもっぱらヤマトだ。
この仲間の幼虫はきれいな水に生息することから、環境省と国交省が環境を調べる際のきれいな水の指標種としている。
この日も小さな沢沿いの草につかまっているのを見つけた。
愛くるしい丸い目と尖った口につい惹かれてしまうのは、ちょっと変か、マニアックか?・・・。
ヘビトンボは体が黄色いのですぐに識別できるが、タイリクとヤマトは翅の支脈を見なければわからない。
なのでいつも翅のUPを撮るようにしている。
幼虫もよく似ているが、ヘビトンボは頭が赤くタイリクとヤマトは黒いので後者2種は頭楯の色と呼吸管で見分けなければならない。
成虫幼虫共にこの識別点をチェックしているが、まだタイリクに出逢えたことはない。
2016年5月15日 東京都
ヘビトンボ目ヘビトンボ科 ヤマトクロスジヘビトンボ RICOH WG-4
スミナガシ 産卵する [チョウ目]
明らかに産卵する植物を探している様子。
少し遠かったので最初種はわからなかったのだが、葉裏にとまって産卵行動をした植物からスミナガシとわかった。
その植物は高さ1mほどの小さなアワブキで、普通に歩いていればまずこの小さな実生には気付かなかっただろう。
アワブキが少ないためかスミナガシもなかなか見ることが出来ず、今日が今シーズン初めてだ。
産卵したアワブキの葉をめくってみると、白く輝く卵が産み付けられていた。
産卵は葉の裏に蛾のようにペタッととまって行うようだ。
今日は標準レンズしか持ち合わせがなく、産卵シーンも撮れず2枚の写真もかなりトリミングをしている。
ここ数年、知られた木の幼虫は枝ごと持ち去られる事が増えていたが、さすがにこの小さな木の存在はまだ誰も知るまい。
時折、人に見られぬよう幼虫を確認してみたい!
2016年5月22日 東京都
チョウ目タテハチョウ科 スミナガシ
初夏のチョウたち [チョウ目]
5月に入り、最もよく見られるようになったのが「コジャノメ」。
林内を歩くとあちこちから飛んでその多さが目についた。
ここにきて数ではクロヒカゲとバトンタッチの様相が見られるが・・・。
林縁の梢を飛んで樹液にやって来たのは真っ白な「アカボシゴマダラ」の春型。
ここ数年、見られる数が減っていたが、今年は多いと思う。
中には大きな個体もいて、飛んでいる姿は一瞬オオゴマダラかと思うほどだ。
5月中旬頃から多く見られるようになったのが「サトキマダラヒカゲ」。
今日見つけた個体は、ベンチで一息。
アカシジミも現れて、いよいよ賑やかになって来た。
2016年5月 東京都
RICOH WG-4、CANON EOS7D SIGMA 17-70mmDC MACRO HCM