SSブログ

南からの侵略者 ヒゲナガヘリカメムシ [カメムシ目]

宮崎県日南市でオオテントウを探していたホウライチクにたくさんいた「ヒゲナガヘリカメムシ」。
元来、南方のカメムシで近年宮崎県まで北上して分布を広げている外来種らしい。
ヒゲナガヘリカメムシ1001-2.JPG



















竹の幹に大小さまざまなステージの幼虫たちが群れていた。
ヘリカメムシの仲間らしく小さい頃はアリ擬態のようだ。
ヒゲナガヘリカメムシ1001-1.JPG



















卵も見つかったが、2列に几帳面に産み付けられ30個以上あった。
これなら数が増えるはず!
彼らの天敵はいないのだろうか?
ヒゲナガヘリカメムシ1001-3.JPG



















2020年10月1日 宮崎県 カメムシ目ヘリカメムシ科 ヒゲナガヘリカメムシ

nice!(0) 

国内外来種 ハラアカコブカミキリ [コウチュウ目]

南阿蘇で関東のfieldで見たことの無いカミキリムシがいた。
どっしりした体形に黒とピンク色の体色、上翅に1対の黒い長毛のコブがある。
ハラアカコブカミキリ0930.JPG



















聞くと「ハラアカコブカミキリ」。
元来日本では長崎県対馬にしか生息していなかったが、コナラ、クヌギなどのシイタケ原木の移動により1970年代から九州本土さらに西日本で見られるようになり、近年では千葉県でも確認されシイタケ原木の害虫とされている。
このように在来種でありながら本来いなかった地域に持ち込まれた場合、その地域の生態系に影響を与える可能性がある事からこういった種は国内外来種(国内由来の外来種)と呼ばれる。
ハラアカコブカミキリ0930-1.JPG



















ひっくり返して腹部を見るとまさに名の通りの色だった。
シイタケ農家にとっては脅威だろう。
ハラアカコブカミキリ0930-2.JPG



















2020年9月30日 熊本県 コウチュウ目カミキリムシ科 ハラアカコブカミキリ

nice!(1) 

九州昆虫観察ツアー 宮崎 [昆虫観察ツアー]

最後5種目のターゲットは「オオカマキリモドキ」だった。
カマキリモドキの仲間はカマキリのような前脚を持ち、夜行性で小さな昆虫などを捕食する。
関東ではキカマキリモドキやヒメカマキリモドキが見られるが、オオカマキリモドキは四国や九州にのみ分布する。
新開さんによるとfieldのカキの木で数日前に数頭見られたとの事だったが、夜、昼と探したが残念ながら今回は見つからなかった。事前に採集していたものを見せていただいたが、見つかるだろうと残念ながら写真を撮っていなかった。
代わりに夜、探索中に見つけた高所のカキの実を吸汁しているガの仲間の「イチジクヒトリモドキ」を貼っておく。南方系のなかなかの美麗種で、幼虫はイチジクやイヌビワを食べる。
イチジクヒトリモドキ0930_1.jpg



















当初のターゲットではなかったが、最終日新開さんご自宅の林で「ニホンホホビロコメツキモドキ」の探索を行った。ニホンホホビロコメツキモドキはオオキノコムシ科に属し大きさは2㎝弱とコメツキモドキの仲間では最大。メダケ、リュウキュウチク、アズマネザサなどの枯れた竹に集まり、成虫は春から秋にかけて見られる。一度は見ておきたい種だった。

メスは竹の1節に1つ産卵し、方形で両側に窪みのある特徴的な産卵痕を残す。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-1_1.jpg





























幼虫は節内で蛹となり羽化して内側から方形の穴をあけて脱出する。
その羽脱痕がこちら。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-6_1.jpg



















林内の枯れた竹をかなりの数切り出していただいたが、産卵痕はあるもののなかなか見つからない。
そろそろタイムアップというところでようやく幼虫が見つかった。
この竹の中で幼虫は一体何を食べているのかと思ったが、メスが産卵時に酵母菌を内部に植え付け幼虫が内部を動き回ることで菌を広げそれが餌となっていることがわかってきたそうだ。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-2_1.jpg



















間もなくたて続けに成虫も見つかったのだが、何と春に脱出するための僅かに材を残した方形の穴を既にこの時期に掘っていたのにはびっくりした。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-2a_1.jpg



















この虫の大きな特徴はメスの頭部が非対称で左側に大きく肥大している事だ。
初めて見たが確かに不思議な容姿である。
一方、オスはほぼ対象なことからメスのみ行う産卵行動に関連しているようだ。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-4_1.jpg



















こちらが顔がスリムなオス。
1本の竹を割ると根元の太い節間から大きい成虫、先にいくに従って細くなる節間の太さと比例して小さな成虫が5頭でてきた。まるでマトリョーシカみたいと皆で笑いあったのだった。

この種は北は岩手県まで分布しており、関東ではアズマネザサに依存していると思われ是非fieldでも見つけてみたい。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-5_1.jpg



















帰りの飛行機から見た夕景はそれはそれは美しかった。
帰路1002_1.jpg



















2020年10月2日 宮崎県 チョウ目ヤガ科 イチジクヒトリモドキ、コウチュウ目オオキノコムシ科 ニホンホホビロコメツキモドキ

nice!(1) 

九州昆虫観察ツアー 日南 [昆虫観察ツアー]

4種目のターゲットを求めて日南市へ。
現地で「みなみかぜ通信」のYさんにご案内いただき、群生したホウライチクに付くツノアブラムシの1種を捕食しているという。白いアブラムシの中にいる小さな赤いのは兵隊アブラムシだそうだ。
ツノアブラムシ1001_1.jpg



















これがなかなか見つからなかったが、見つけたのはやはりYさん。
ターゲットは日本三大オオテントウ(個人で勝手にグルーピング)の一種、大きさ約12mmとナナホシテントウの約1.5倍の「オオテントウ」だ。
過去にカメノコテントウ、ハラグロオオテントウは見ているが、この種はfieldにいないので未見だったのだ。
オオテントウ1001-1.JPG



















幼虫は比較的多く見られ、写真の大きいのは脱皮中のようだった。
オオテントウ1001-2.JPG



















ツノアブラムシのコロニー近くに産み付けられた艶のある奇麗な黄色の卵も見つかった。
オオテントウ1001-3.JPG



















海岸線に移動してオオバナノセンダングサを見ていると、南西諸島や九州南部に分布している「クロボシセセリ」がいた。イチモンジセセリの後翅の白斑が黒い感じだ。幼虫の食草がヤシ科なのでヤシの仲間があるところにしかいない。
クロボシセセリ1001_1.jpg



















卵も面白いと教えていただいた。
確かに卵とは思えない目を惹くデザインだ。
クロボシセセリ1001_2.JPG



















葉上にウラナミシジミ?何か違うと思ったらこちらも南西諸島や九州南部で見られる「クロマダラソテツシジミ」だった。近年、関東の湾岸部でも確認されている。
クロマダラソテツシジミ1001.JPG



















花に来たオオスカシバと思いきやこれは「リュウキュウオオスカシバ」だという。
幼虫の食樹はオオスカシバと同じクチナシやギョクシンカ、ツキヌキニンドウ、タニワタリノキ。
リュウキュウオオスカシバ1001.JPG



















海を見ると千畳敷の向こうに陸続きの島。
和むいい景色だった。
島1001.JPG



















2020年10月1日 宮崎県 コウチュウ目テントウムシ科 オオテントウ、チョウ目セセリチョウ科 クロボシセセリ、シジミチョウ科 クロマダラソテツシジミ、チョウ目スズメガ科 リュウキュウオオスカシバ

nice!(1) 

九州昆虫観察ツアー 熊本南阿蘇 [昆虫観察ツアー]

この日の宿は久しぶりにビジネスホテルではなく宿らしい宿、休暇村南阿蘇。
早朝は見えていた根子岳も出発前には雲に隠れてしまった。
根子岳0930.JPG



















一日前、放牧地の牛糞で最も多く見られた「オオセンチコガネ」。
地域によって色が異なり、ここで見られるのはほとんど赤系だった。
オオセンチコガネ0929.JPG



















こちらは「オオフタホシマグソコガネ」。
黄色の翅が良く目立つ。
オオフタホシマグソコガネ0930.JPG



















5本の角を持つ「ゴホンダイコクコガネ」のオスも1個体だけ見られた。
大きさが1cmほどなのが残念で、もっと大きければ・・・。
地中の産室で糞の団子を作る糞虫だ。
ゴホンダイコクコガネ0930_1.jpg



















さて3種目のターゲットは最も難度の高い「ダイコクコガネ」だ。
探す目印は糞に潜った時にできるマウンドという盛り上がりだそうだ。
前日も見つからず、この日も広い放牧地で糞を探して歩きまわるがなかなかこのしわざが見つからない。
途中に見つけたのは「ムネアカセンチコガネ」。
この種はmy fieldでも見られる種。
ムネアカセンチコガネ0930.JPG



















糞ではなく草の上のしわざが見つかった。そして3cmほどもある大きな「ダイコクコガネ」のメス。
初めて見たが大きさや丸みを帯びた形、さらに質感もさすがに素晴らしい!
スコップのような顔の先端を使ってあっという間に潜ってしまう。
ダイコクコガネ0930-2.JPG



















そうこうしていると今度はオスが見つかった。
メスよりは小さいがメスにはない頭部の大きな角と胸部の2本の角がかっこいい。
ダイコクコガネ0930-4.JPG



















お二人のお陰でオスメス両方が見られたのはとても嬉しい成果だった。
ダイコクコガネ0930-5.JPG



















歩いているとダイコクコガネの死骸を2個体見つけた。
カラスに捕食されることもあるそうで、牧草地には数羽のカラスがいた。
牛馬の放牧地が減りさらにはえさに混ぜた抗生物質などの影響、採集圧などで、すでに絶滅した地域もあり環境省や各県でも絶滅危惧種に指定されている。
恐らく再びこの虫に出会うことは無いと思うが、いつまでもこの種が生息する環境が維持されることを願うばかりだ。
ダイコクコガネ0930-6.JPG



















牧草地では早くもリンドウが咲いていた。
リンドウ0930.JPG





























2020年9月30日 熊本県 コウチュウ目センチコガネ科 オオセンチコガネ、ムネアカセンチコガネ科 ムネアカセンチコガネ、コガネムシ科 ゴホンダイコクコガネ、ダイコクコガネ、リンドウ目リンドウ科 リンドウ

nice!(1) 

九州昆虫観察ツアー 延岡~熊本南阿蘇 [昆虫観察ツアー]

延岡の2日目、午前中は市内の新開さんのfieldの公園で今回のターゲットの1種目のカメムシ観察。
探していると伊藤さんが見つけた小さな小さな「ヒメカマキリ」。
どんぐりの脇からこんにちは!
ヒメカマキリ0929.JPG



















いたよぉ!との声でその先を見るとおおっ!
道端の葉裏に集まっていた「ベニツチカメムシ」。
(当初ボロボロノキと記していたがここの集団は別の種の木だった)
ベニツチカメムシ0929-2_1.jpg



















ベニツチカメムシはメス親が子育てをするカメムシ。
子供たちのためにせっせとボロボロノキの実を運ぶのだ。
虫が子供の餌に実を運ぶなんてちょっと信じがたい・・・。

分布が沖縄、九州、四国、ボロボロノキがあるところなので残念ながら僕のfieldでは見られない。
詳しい生態や母親が実を運ぶ写真がこのカメムシを研究している森林総研の向井さんの記事に。
ベニツチカメムシ0929-1.JPG



















ここのボロボロノキのあちこちに集団がいて冬には根際に降りて越冬するそうだ。
こんなに赤いと目立つなぁと思うのだが、越冬集団を見つけるのはなかなか難しいようだ。
ベニツチカメムシ0929-3.JPG
























何と、この公園で後日別の場所で観察予定だったターゲットの「ヒラタミミズク」をお二人に幼虫、成虫それぞれ見つけていただいた。
ヒラタミミズクは沖縄から九州にかけて見られるカメムシ目ミミズク科に属し広葉樹に付く。
幼虫は名前の通り平たく葉っぱに同化してなかなか見つけ難い。
ヒラタミミズク幼虫0929.JPG
















一方成虫になると全く姿を変えて立体的に。
何とも不思議な変態だ。
でも顔のあたりは面影があるな。
ヒラタミミズク0929-1.JPG
















よく見ると翅は緑色の透明でとても美しかった。
ヒラタミミズク0929-2.JPG
























この後、次のターゲットを求めて雄大な草原の南阿蘇へ!
過去に車やバイクで何度も訪れたが、虫を探しに来たのは初めて。
南阿蘇0929_1.jpg
















3種目のターゲットは牛、ではなくて彼ら彼女らが落とすものに依存している虫だ。
その正体は次回に。
牛0929_1.jpg
















2020年9月29日 宮崎県 カマキリ目カマキリ科 ヒメカマキリ、カメムシ目ツチカメムシ科 ベニツチカメムシ、カメムシ目ミミズク科 ヒラタミミズク

nice!(1) 

九州昆虫観察ツアー 延岡市 [昆虫観察ツアー]

昨夏の四国に続いて今年の昆虫観察ツアーは九州へ。
昆虫写真家新開孝さん、絵本作家伊藤知沙さんとご一緒させていただいた。
今回のターゲットは5種。
今年はコロナの影響で中止かと思われたが、GOTOも始まり感染拡大も縮小気味ということでコロナ対策に万全を期しての開催だった。
残念ながら予約したのがGOTO開始の1日前で対象にならなかったことが残念で仕方がない。

ずっと自粛していたので電車に乗って都内へは半年ぶり、思った以上に羽田のターミナルは閑散としていた。
羽田0928.JPG



















当初は午前中のフライトだったが、コロナで欠航となり振替便が夕方にしかなく初日の予定が大幅に縮小されてしまった。
窓から見た富士山。この後ニュースでこの日が初冠雪と聞いたが、午後4時頃で既に溶けてしまっていたか・・・。
富士山0928.JPG



















宮崎ブーゲンビリア空港に到着後、車で延岡へ。
宮崎0928.JPG



















延岡の夜景の名所、愛宕山の展望台で灯り巡り。
夜景の名所ということでカップルばかりではと少しビビっていたが、数組いたもののそれほどの猛者はおらず若い男同士もいてホッとしたのだった。カメラを持っているので盗撮するのではと思われてはたまったものではない!
展望台までの道脇でまず目に付いたのが落ちていたクリを食べていた「クチキコオロギ」。
クチキコオロギ0928.JPG



















展望台の灯りに来ていた「ウスキクロテンヒメシャク」。
似た種がいるが後翅に突起が無い事やまばらな黒斑から。
ウスキクロテンヒメシャク0928.JPG



















こちらは片翅に傷みのある「シロテンキノメイガ」。
シロテンキノメイガ0928.JPG



















高い位置にとまっていたので下から見上げる構図となった「アシベニカギバ」。
アシベニカギバ0928.JPG



















大物登場!今年初めて見る「アケビコノハ」。
枯葉にそっくりな素晴らしいデザインの前翅とカブトムシのような顔が、毎年見たいと思わせてくれるのだ。
前翅に散りばめられた緑色の斑も絶妙なアクセントになっている。
アケビコノハ0928-1.JPG



















黄色の後翅に黒斑が美しいがなかなか翅を開いてくれない。
突いていただいてようやく見ることが出来た。
いつも飛ばれてしまうのでラッキー!
この日はこのまま延岡泊で、翌日は1つ目のターゲットを探しに再び延岡とさらに2つ目のターゲットを求めて南阿蘇へ。
アケビコノハ0928-2.JPG



















2020年9月28日 宮崎県 バッタ目コオロギ科 クチキコオロギ、チョウ目シャクガ科 ウスキクロテンヒメシャク、ツトガ科 シロテンキノメイガ、カギバ科 アシベニカギバ、ヤガ科 アケビコノハ

nice!(1)