SSブログ

水辺のハラビロカマキリから やはりハリガネムシ [カマキリ目]

田んぼ畔の横の小さな水路沿いでメスの「ハラビロカマキリ」を見つけた。
水辺に近づくとはさては・・・
ハラビロカマキリ1021-1.JPG





























その顛末を確認しようと後を追った。
水路の水は少なくハラビロカマキリの腹が付く程度で何の変化も起こらない。
難無く渡って田んぼへ向かったが田んぼに水はない。
ハラビロカマキリ1021-2.JPG



















しかし水辺に来たことには理由があるはずと、申し訳なかったがすぐそばの水のたまった小さな堰に入れてみた。
すると思った通り、奴が腹端から現れた。
ハラビロカマキリ1021-3.JPG



















見る見るうちに姿を現し水の中へ。
時間差でもう1匹も現れた。
このカマキリのお腹の中には2匹の「ハリガネムシ」の一種がいたのだった。
ハリガネムシの仲間は水生の生き物で、カマキリ、バッタ、トンボなどの体に寄生して成長し、成熟すると寄生しているものを操って入水させ水の中へ戻る。寄生された虫たちは死にはしないものの生殖機能を失うと言われれている。何とも虫たちにとっては恐ろしい生き物だ。
ハラビロカマキリ1021-4.JPG



















自力、というよりはハリガネムシに誘導されて入ったと思われる浅い水路では、ハリガネムシはまだカマキリのお腹から出る機会ではないと思ったのだろうか?
2匹が出た後、このカマキリは先ほどまでとは一転して全く動かなくなった。
陸に引き上げたが僅かに脚を動かすだけでほぼ絶命の状態だった。

今年、水辺と異なる場所で見つけたハラビロカマキリをあえて水に浸けてみると、おおよそ8割の確率でハリガネムシが潜んでいた。ただ、ハリガネムシが出た後は死ぬことなく何事もなかったかのようにカマキリたちは元気に去っていった。
さて、今回のカマキリは何故このような状態になったのだろう。
このところ田んぼの水に浮いて死んでいるハラビロカマキリをいくつか見たが、恐らくこういう事なのだろう。

水辺ではない環境にいる個体はハリガネムシに操られていない。その状態で水に浸けるとハリガネムシは出てくるがその後もカマキリはいたって元気だ。
一方今回のように恐らくハリガネムシに操られて水辺に来たものは、ハリガネムシが出てしまうと魂を抜かれたように動けなくなってしまった。
この操られていない、操られているが生死を分けるのだろうか?
過去に水辺に来たカマキリからハリガネムシが出てくるのを何度も見たが、出た後も元気な個体もあったように思う。
ハリガネムシが出た後に命を落とすのは個体差なのだろうか?
ん~、とても興味深い!

※この後職場で見つけたハラビロを水に浸けてみると、ハリガネムシは出なかったが上記個体のように全く動かなくなってしまった。恐らく大きさなどから数日前にハリガネムシが出た後元気に逃げて行った同一個体と思われた。近くの切り株の上に置いて半日後に見ると姿がなく探すと近くの葉上で見つかった。このことから一時的に仮死状態のようになるのではと上記個体がいた場所を確認したところ、やはりその姿は消えていた。数日たっていたので鳥などに捕食された可能性もあるが、今後検証が必要だなと思ったのだった。
ハラビロカマキリ1021-5.JPG



















2020年10月21日 東京都 カマキリ目カマキリ科 ハラビロカマキリ、ハリガネムシ目 ハリガネムシsp.

nice!(1)