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奄美大島昆虫観察ツアー その4 両・爬編 [昆虫観察ツアー]

この日は夜の林道で生き物観察。
一番の目的はあの哺乳類だが、他に何が見られるか?
走行注意1005.JPG



















陽が落ちかけた林道わきに車を停めて探しているとクワズイモの葉上でカナヘビ発見。
いつも見ているカナヘビとはちょっと異なり妙に尻尾が長い。
南西諸島に生息する日本固有種の「アオカナヘビ」の幼体だった。
アオカナヘビ1005-1.JPG



















別の場所でも同じくらいの大きさの幼体がいた。
最初に見たのは背中が褐色だったが、こちらは緑色の個体。
アオカナヘビ1005-2.JPG



















時折雨が降る不安定な天候で、小雨がぱらついていた。
車を低速で走らせていると路上のあちこちに白っぽいものがいくつも目に付いた。
何だろうと降りて近寄るとすべてカエル!
雨で道に出てきたようだ。
そのほとんどが奄美大島、徳之島で見られる日本固有種の「アマミハナサキガエル」。
環境省のレッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類の希少種だ。
アマミハナサキガエル1005.JPG



















少しして色見が違うのがいたのでまた降りて確認。
何とそれは、今回是非見たいと思っていた緑色が美しい「アマミイシカワガエル」だった。
近年アマミとオキナワの2種に分けられ、境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類に指定されているこちらも希少種。
2枚撮って逃げないようにガードして同行の二人を呼んだ瞬間に大きくジャンプして林内に消えてしまった。
ああっ、何という失態(T_T)
アマミイシカワガエル1005.JPG



















この後も、道の上のカエルたちをよけながら進む。
途中、奄美大島と加計呂麻島のみに生息する日本固有種で環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類の「オットンガエル」にも出会った。ヒキガエルかと思ったが、残念ながら撮影する前に逃げられてしまった。
走れば次々と路上にカエルたちが現れ轢かないように注意しながら走ったが、そんなことを知らない人は多くのカエルたちを轢いてしまうだろう。何らかの対策が必要だと思った。

これだけカエルがいればそれを狙うやつもいる。
林道の真ん中にいたのはヘビの「アカマタ」。
車を降りると林内に逃げ込んだので、こんな機会は二度とないと申し訳なかったが尻尾を掴んで引きずり出した。
1mを超えよく太り精悍な顔付きで気性が荒いと聞いていたがまさしくだった。
雨のお陰でたくさんのカエルたちが見られ、運よく一番の目的の哺乳類にも1度出会うことが出来て満足のナイトツアーだった。
アカマタ1005.JPG



















2021年10月5日 奄美大島 有隣目カナヘビ科 アオカナヘビ、ナミヘビ科 アカマタ、無尾目アカガエル科 アマミハナサキガエル、アマミイシカワガエル

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奄美大島昆虫観察ツアー その3 [昆虫観察ツアー]

3日目は湯湾岳麓にあるフォレストポリスという森林浴公園にある「マテリアの滝」を訪れた。
本当に美しい太陽の滝つぼと称されたこの滝は観光スポットとなっている。
この日は小雨が降ったり晴れ間が出たりと不安定な天候で、太陽の滝つぼは拝めなかった。
若いカップル2組がたて続けに訪れ水着になって滝つぼに入る様はなかなか目のやり場に困った。
ここはインスタ映えで有名な場所なのだろうか?
マテリアの滝1005.JPG



















ここでのターゲットは「リュウキュウハグロトンボ」。
早々にオスが見つかったが遠くて思うように写せず。
かろうじて撮れたピンボケだが、翅表の青が美しかった。
リュウキュウハグロトンボオス1005-1.JPG



















メスは地味だがいつも見掛けるハグロトンボよと比べると胸の緑色が美しい。
リュウキュウハグロトンボメス1005.JPG



















滝の近くに複数のオスがいて翅を開いたところを撮ろうと粘ったが残念ながら叶わなかった。
角度によっては翅裏も鮮やかな青に輝いていた。
リュウキュウハグロトンボオス1005-2.JPG



















お昼休憩で停めた駐車場脇の草地で見たことの無い小さなチョウたちが飛び交っていた。
近寄るとこちらもオスは美しい輝く青い翅を持つ「アオタテハモドキ」だった。
図鑑でしか見たことが無く、キタテハより一回り小さいだろうか?
こんなに小さいとは思ってもみなかった。
オスは翅を広げてしきりにメスにアピールしていた。
アオタテハモドキ1005.JPG



















林道を車で走っているとあちこちでまさに南国を思わせる木を見かけた。
日本最大のシダ植物と言われる「ヒカゲヘゴ」。
ヒカゲヘゴ1005.JPG



















樹皮には特徴的な丸い跡が残されていた。
成長と共に葉を落としていった跡、葉痕のようだ。
ヒカゲヘゴ1005-1.JPG





























林道脇に車を停めて木々を眺めていると黒っぽいチョウが来て産卵をしているようだった。
近くの木に飛び移り翅を開いたところを撮って見ると「スミナガシ」だった。
スミナガシ1005.JPG



















林道の路上にはこの日降った雨を吸いに「ツマベニチョウ」があちこちで見られた。
とにかく敏感で近寄らせてくれないうえ、給水中は翅を閉じて開いてくれない。
ようやく林縁の葉にとまってその美しいオレンジ色を見せてくれた。

この後は夜の林道観察なのだが、その様子は次回に。
ツマベニチョウ1005.JPG



















2021年10月5日 奄美大島 トンボ目カワトンボ科 リュウキュウハグロトンボ、チョウ目タテハチョウ科 アオタテハモドキ、スミナガシ、シロチョウ科 ツマベニチョウ、ヘゴ目ヘゴ科 ヒカゲヘゴ

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奄美大島昆虫観察ツアー その2 [昆虫観察ツアー]

ツアー2日目は泊まっていた名瀬の町から車で北へ。
途中、山肌が大きく削られて土砂を採掘している光景が目にとまり一体何なのだろうと話題になったが、どうやら辺野古の埋め立てのために採掘しているようだ。豊かな自然を破壊しそこで得たものでさらに自然を破壊することは何ともやりきれない。世界自然遺産に指定されたことでこのような愚行は無くなってくれるのだろうか?
そう思いたい!
着いた先は龍郷町の奄美自然観察の森。
ここで今回のターゲットの一つである虫を探す。

個人的には是非本土では見られないセミの姿と鳴き声を確認することも楽しみの一つだった。
まず、見つけたのは「オオシマゼミ」。
奄美大島、沖縄、久米島などに産し、ツクツクボウシの仲間で最大の種。
頭や胸の緑色が濃く、腹節の青色が美しかった。
図鑑の鳴き声はカンカンカンという金属的な音とあるので実際に聞いて見たかった。
鳴き終わりに連れ間隔が早くなっていくのはまるでウルトラマンのカラータイマーのようだ!
鳴き声はこちら。 
オオシマゼミ1004.JPG




















次は「リュウキュウアブラゼミ」。
my fieldでアブラゼミはポピュラーな存在だが、リュウキュウアブラゼミはどう違うのか?
一見似ていたが、よく見ると前胸背や翅の支脈の緑色が目立つ。
鳴き声は似てはいるがアブラゼミがずっと鳴き続けているのに対して、リュウキュウは鳴き出してから5~10秒で鳴き止み間をおいてまた鳴き出す。聞けば違いは明白だった。
鳴き声はこちら 
リュウキュウアブラゼミ1004.JPG



















3種目は「クロイワツクツク」。
この種もツクツクボウシの仲間、見た目はそっくりで少し大きい。九州大隅半島から南から久米島まで生息しているが、千葉県では移入種として根付いている。
鳴き声は複数が鳴いてとにかくやかましい印象だった。

リュウキュウツクツク1004_1.jpg



















奄美自然観察の森の展望園地からはエメラルドグリーンが素晴らしい龍郷湾が一望できた。
龍郷湾1004.JPG



















こんな奇麗な色の海を見たのは、いったい何十年ぶりだろうか?
龍郷湾1004-2.JPG



















ここからさらに北に向かい蒲生崎観光公園へ。
車を停めて歩き出すと足元からトンボが飛び立った。
ん~、シオカラトンボ?と考えていると新開さんが「ハラボソトンボ」と教えてくれた。
この種は九州から南西諸島にかけて生息し、名のとおり腹部が非常に細いのが特徴。
テリトリーを張っていて何度も飛んでは同じ場所に戻ってきていた。
ハラボソトンボ1004.JPG



















園路の上の大きな蜘蛛の巣は「オオジョロウグモ」。
存在は知っていたが見るのは今回が初めてで、巣も体もいつも見ているジョロウグモよりも大きく迫力があった。いくつか見たが皆脚が欠けているものが多かった。
オオジョロウグモ1004.JPG



















歩いていると「イシガケチョウ」が目の前を飛んだ。
タテハチョウの仲間で、幼虫はイヌビワガジュマルなどを食べ近畿地方から南西諸島に分布している。
翅の模様が美しく好きなチョウの一つだがかなり翅が傷んでいた。
イシガケチョウ1004.JPG



















この日はいったん宿に戻り、また宿の近くのおがみ山公園へ夜の観察。
前の日に見た「アマミサソリモドキ」がこの日はあちこちで見られ、前脚を伸ばして歩く姿を初めて確認した。
普段は縮めているがまるでザリガニのような大きなハサミを持っていたことにビックリ。
サソリモドキ1004.JPG



















暫くして新開さんがサソリモドキが何かを捕えていると知らせてくれた。
ゴミムシか?バッタか?
よく見るとどうやらゴキブリを捕まえていた。
サソリモドキは捕まえた獲物を消化液で溶かして摂取するようで確かにクモに近い仲間のようだ。
サソリモドキ1004-2.JPG



















帰り道、草の上が揺れたので何かいるなと目を凝らすと「ヤモリ」だった。
この島の家屋の壁では夜、あちこちでヤモリの姿を目にした。
埼玉県ではニホンヤモリだが、奄美では数種のヤモリがいるようだ。
これが何の種かはわからない。
ヤモリ1004.JPG



















2021年10月4日 奄美大島 カメムシ目セミ科 オオシマゼミ、リュウキュウアブラゼミ、クロイワツクツク、トンボ目トンボ科 ハラボソトンボ、クモ目ジョロウグモ科 オオジョロウグモ、チョウ目タテハチョウ科 イシガケチョウ、サソリモドキ目サソリモドキ科 アマミサソリモドキ、有隣目ヤモリ科 

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奄美大島昆虫観察ツアー その1 [昆虫観察ツアー]

10月3日から昆虫写真家新開孝さん、絵本作家伊藤知紗さんと奄美大島昆虫観察ツアーに行って来た。
コロナの状況によってはキャンセルも考慮されていたが、運よく緊急事態宣言が解除されたことで決行した。
今までに仕事や旅行で北は北海道最北端から南は九州最南端まで網羅してきたが、鹿児島より南は未踏の地で是非とも行きたかったのだ。

宣言が解除されたばかりだからか羽田のターミナルは思ったほど混んではいなかった。
羽田1003.JPG



















羽田から奄美大島への直行便は無く、鹿児島空港で乗り継いでのフライト。
鹿児島空港への着陸航路から見えた霧島連山は絶景だった。
左の尖ったのは高千穂峰だろうか?
霧島連山1003.JPG



















乗り継ぎ待ちの時間が長く、羽田を出たのが13時で奄美大島に着いたのは18時。
名瀬のホテルに一旦チェックインして近くのおがみ山公園で灯り巡りと出掛けたものの、灯りが全く無く懐中電灯で園路周りを照らして歩いた。

葉の上にいた白い小さな蛾。
九州から台湾にかけて分布している「コウセンポシロノメイガ」のようだ。
幼虫の食草はクワ科らしい。
コウセンポシロノメイガ1003.JPG



















葉上で何かを食べていたたぶん「コバネコロギス」の幼虫。
柵があってちょっと遠かった。
コバネコロギス1003.JPG



















こちらも葉上にいた小さなヒシバッタの仲間。
とりあえず撮ってあとで調べたら、奄美大島、徳之島で見られる「アマミヒラタヒシバッタ」。
前胸が左右に大きく張り出しているのが特徴。
アマミヒラタヒシバッタ1003.JPG



















最も多かったのは奄美大島以南に分布する「マダラコオロギ」。
あちこちに群れており低木や下草上で見られた。
一見姿はコオロギだが分類はマツムシ科だ。シッ、シッと鳴くらしいが鳴き声は気付かなかった。
写真は産卵器のあるメス。
マダラコオロギ1003.JPG



















園路脇の崖に灯りを当てるとさっと動いて隠れる黒い影。
今回見たかった1つの「アマミサソリモドキ」だ。
大きなハサミとお尻に長い角があり一見サソリのようだが、全く異なり分類上はクモの仲間に近い。
オキナワにいるのはタイワンサソリモドキという近縁種らしい。
たたんだハサミが大きな目のように見えて、この部分がどうなっているのか見たかったがそれは後日に。
サソリモドキ1003.JPG



















真っ暗な中、樹上で見つかったのはまるで小さな恐竜のような「オキナワキノボリトカゲ」。
遠くてこれが付けていたレンズでは精いっぱい。
こんな種を見ると南の島へ来たなぁと実感!
オキナワキノボリトカゲ1003.JPG



















見るのも嫌という方も多いかもしれないが、日本では最大級のG。
九州南部から沖縄にかけて見られる「ワモンゴキブリ」。
胸の輪のような紋が特徴。
ワモンゴキブリ1003.JPG



















こんな季節に黄色い小さな灯りがふわふわと飛んでいた。
捕まえて見るとやはりホタル。
似た種にオキナワスジボタルがいるが大きさから「クロイワボタル」だろう。
公園の草地でもあちこちで点滅していて、こんな時期にホタルが見られるのも南国ならではなのだろう。
クロイワボタル1003.JPG



















2021年10月3日 鹿児島県 チョウ目ツトガ科 コウセンポシロノメイガ、バッタ目コロギス科 コバネコロギス、ヒシバッタ科 アマミヒラタヒシバッタ、マツムシ科 マダラコオロギ、サソリモドキ目サソリモドキ科 アマミサソリモドキ、有隣目アガマ科 オキナワキノボリトカゲ、ゴキブリ目ゴキブリ科 ワモンゴキブリ、コウチュウ目ホタル科 クロイワボタル

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九州昆虫観察ツアー 宮崎 [昆虫観察ツアー]

最後5種目のターゲットは「オオカマキリモドキ」だった。
カマキリモドキの仲間はカマキリのような前脚を持ち、夜行性で小さな昆虫などを捕食する。
関東ではキカマキリモドキやヒメカマキリモドキが見られるが、オオカマキリモドキは四国や九州にのみ分布する。
新開さんによるとfieldのカキの木で数日前に数頭見られたとの事だったが、夜、昼と探したが残念ながら今回は見つからなかった。事前に採集していたものを見せていただいたが、見つかるだろうと残念ながら写真を撮っていなかった。
代わりに夜、探索中に見つけた高所のカキの実を吸汁しているガの仲間の「イチジクヒトリモドキ」を貼っておく。南方系のなかなかの美麗種で、幼虫はイチジクやイヌビワを食べる。
イチジクヒトリモドキ0930_1.jpg



















当初のターゲットではなかったが、最終日新開さんご自宅の林で「ニホンホホビロコメツキモドキ」の探索を行った。ニホンホホビロコメツキモドキはオオキノコムシ科に属し大きさは2㎝弱とコメツキモドキの仲間では最大。メダケ、リュウキュウチク、アズマネザサなどの枯れた竹に集まり、成虫は春から秋にかけて見られる。一度は見ておきたい種だった。

メスは竹の1節に1つ産卵し、方形で両側に窪みのある特徴的な産卵痕を残す。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-1_1.jpg





























幼虫は節内で蛹となり羽化して内側から方形の穴をあけて脱出する。
その羽脱痕がこちら。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-6_1.jpg



















林内の枯れた竹をかなりの数切り出していただいたが、産卵痕はあるもののなかなか見つからない。
そろそろタイムアップというところでようやく幼虫が見つかった。
この竹の中で幼虫は一体何を食べているのかと思ったが、メスが産卵時に酵母菌を内部に植え付け幼虫が内部を動き回ることで菌を広げそれが餌となっていることがわかってきたそうだ。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-2_1.jpg



















間もなくたて続けに成虫も見つかったのだが、何と春に脱出するための僅かに材を残した方形の穴を既にこの時期に掘っていたのにはびっくりした。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-2a_1.jpg



















この虫の大きな特徴はメスの頭部が非対称で左側に大きく肥大している事だ。
初めて見たが確かに不思議な容姿である。
一方、オスはほぼ対象なことからメスのみ行う産卵行動に関連しているようだ。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-4_1.jpg



















こちらが顔がスリムなオス。
1本の竹を割ると根元の太い節間から大きい成虫、先にいくに従って細くなる節間の太さと比例して小さな成虫が5頭でてきた。まるでマトリョーシカみたいと皆で笑いあったのだった。

この種は北は岩手県まで分布しており、関東ではアズマネザサに依存していると思われ是非fieldでも見つけてみたい。
ニホンホホビロコメツキモドキ1002-5_1.jpg



















帰りの飛行機から見た夕景はそれはそれは美しかった。
帰路1002_1.jpg



















2020年10月2日 宮崎県 チョウ目ヤガ科 イチジクヒトリモドキ、コウチュウ目オオキノコムシ科 ニホンホホビロコメツキモドキ

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九州昆虫観察ツアー 日南 [昆虫観察ツアー]

4種目のターゲットを求めて日南市へ。
現地で「みなみかぜ通信」のYさんにご案内いただき、群生したホウライチクに付くツノアブラムシの1種を捕食しているという。白いアブラムシの中にいる小さな赤いのは兵隊アブラムシだそうだ。
ツノアブラムシ1001_1.jpg



















これがなかなか見つからなかったが、見つけたのはやはりYさん。
ターゲットは日本三大オオテントウ(個人で勝手にグルーピング)の一種、大きさ約12mmとナナホシテントウの約1.5倍の「オオテントウ」だ。
過去にカメノコテントウ、ハラグロオオテントウは見ているが、この種はfieldにいないので未見だったのだ。
オオテントウ1001-1.JPG



















幼虫は比較的多く見られ、写真の大きいのは脱皮中のようだった。
オオテントウ1001-2.JPG



















ツノアブラムシのコロニー近くに産み付けられた艶のある奇麗な黄色の卵も見つかった。
オオテントウ1001-3.JPG



















海岸線に移動してオオバナノセンダングサを見ていると、南西諸島や九州南部に分布している「クロボシセセリ」がいた。イチモンジセセリの後翅の白斑が黒い感じだ。幼虫の食草がヤシ科なのでヤシの仲間があるところにしかいない。
クロボシセセリ1001_1.jpg



















卵も面白いと教えていただいた。
確かに卵とは思えない目を惹くデザインだ。
クロボシセセリ1001_2.JPG



















葉上にウラナミシジミ?何か違うと思ったらこちらも南西諸島や九州南部で見られる「クロマダラソテツシジミ」だった。近年、関東の湾岸部でも確認されている。
クロマダラソテツシジミ1001.JPG



















花に来たオオスカシバと思いきやこれは「リュウキュウオオスカシバ」だという。
幼虫の食樹はオオスカシバと同じクチナシやギョクシンカ、ツキヌキニンドウ、タニワタリノキ。
リュウキュウオオスカシバ1001.JPG



















海を見ると千畳敷の向こうに陸続きの島。
和むいい景色だった。
島1001.JPG



















2020年10月1日 宮崎県 コウチュウ目テントウムシ科 オオテントウ、チョウ目セセリチョウ科 クロボシセセリ、シジミチョウ科 クロマダラソテツシジミ、チョウ目スズメガ科 リュウキュウオオスカシバ

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九州昆虫観察ツアー 熊本南阿蘇 [昆虫観察ツアー]

この日の宿は久しぶりにビジネスホテルではなく宿らしい宿、休暇村南阿蘇。
早朝は見えていた根子岳も出発前には雲に隠れてしまった。
根子岳0930.JPG



















一日前、放牧地の牛糞で最も多く見られた「オオセンチコガネ」。
地域によって色が異なり、ここで見られるのはほとんど赤系だった。
オオセンチコガネ0929.JPG



















こちらは「オオフタホシマグソコガネ」。
黄色の翅が良く目立つ。
オオフタホシマグソコガネ0930.JPG



















5本の角を持つ「ゴホンダイコクコガネ」のオスも1個体だけ見られた。
大きさが1cmほどなのが残念で、もっと大きければ・・・。
地中の産室で糞の団子を作る糞虫だ。
ゴホンダイコクコガネ0930_1.jpg



















さて3種目のターゲットは最も難度の高い「ダイコクコガネ」だ。
探す目印は糞に潜った時にできるマウンドという盛り上がりだそうだ。
前日も見つからず、この日も広い放牧地で糞を探して歩きまわるがなかなかこのしわざが見つからない。
途中に見つけたのは「ムネアカセンチコガネ」。
この種はmy fieldでも見られる種。
ムネアカセンチコガネ0930.JPG



















糞ではなく草の上のしわざが見つかった。そして3cmほどもある大きな「ダイコクコガネ」のメス。
初めて見たが大きさや丸みを帯びた形、さらに質感もさすがに素晴らしい!
スコップのような顔の先端を使ってあっという間に潜ってしまう。
ダイコクコガネ0930-2.JPG



















そうこうしていると今度はオスが見つかった。
メスよりは小さいがメスにはない頭部の大きな角と胸部の2本の角がかっこいい。
ダイコクコガネ0930-4.JPG



















お二人のお陰でオスメス両方が見られたのはとても嬉しい成果だった。
ダイコクコガネ0930-5.JPG



















歩いているとダイコクコガネの死骸を2個体見つけた。
カラスに捕食されることもあるそうで、牧草地には数羽のカラスがいた。
牛馬の放牧地が減りさらにはえさに混ぜた抗生物質などの影響、採集圧などで、すでに絶滅した地域もあり環境省や各県でも絶滅危惧種に指定されている。
恐らく再びこの虫に出会うことは無いと思うが、いつまでもこの種が生息する環境が維持されることを願うばかりだ。
ダイコクコガネ0930-6.JPG



















牧草地では早くもリンドウが咲いていた。
リンドウ0930.JPG





























2020年9月30日 熊本県 コウチュウ目センチコガネ科 オオセンチコガネ、ムネアカセンチコガネ科 ムネアカセンチコガネ、コガネムシ科 ゴホンダイコクコガネ、ダイコクコガネ、リンドウ目リンドウ科 リンドウ

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九州昆虫観察ツアー 延岡~熊本南阿蘇 [昆虫観察ツアー]

延岡の2日目、午前中は市内の新開さんのfieldの公園で今回のターゲットの1種目のカメムシ観察。
探していると伊藤さんが見つけた小さな小さな「ヒメカマキリ」。
どんぐりの脇からこんにちは!
ヒメカマキリ0929.JPG



















いたよぉ!との声でその先を見るとおおっ!
道端の葉裏に集まっていた「ベニツチカメムシ」。
(当初ボロボロノキと記していたがここの集団は別の種の木だった)
ベニツチカメムシ0929-2_1.jpg



















ベニツチカメムシはメス親が子育てをするカメムシ。
子供たちのためにせっせとボロボロノキの実を運ぶのだ。
虫が子供の餌に実を運ぶなんてちょっと信じがたい・・・。

分布が沖縄、九州、四国、ボロボロノキがあるところなので残念ながら僕のfieldでは見られない。
詳しい生態や母親が実を運ぶ写真がこのカメムシを研究している森林総研の向井さんの記事に。
ベニツチカメムシ0929-1.JPG



















ここのボロボロノキのあちこちに集団がいて冬には根際に降りて越冬するそうだ。
こんなに赤いと目立つなぁと思うのだが、越冬集団を見つけるのはなかなか難しいようだ。
ベニツチカメムシ0929-3.JPG
























何と、この公園で後日別の場所で観察予定だったターゲットの「ヒラタミミズク」をお二人に幼虫、成虫それぞれ見つけていただいた。
ヒラタミミズクは沖縄から九州にかけて見られるカメムシ目ミミズク科に属し広葉樹に付く。
幼虫は名前の通り平たく葉っぱに同化してなかなか見つけ難い。
ヒラタミミズク幼虫0929.JPG
















一方成虫になると全く姿を変えて立体的に。
何とも不思議な変態だ。
でも顔のあたりは面影があるな。
ヒラタミミズク0929-1.JPG
















よく見ると翅は緑色の透明でとても美しかった。
ヒラタミミズク0929-2.JPG
























この後、次のターゲットを求めて雄大な草原の南阿蘇へ!
過去に車やバイクで何度も訪れたが、虫を探しに来たのは初めて。
南阿蘇0929_1.jpg
















3種目のターゲットは牛、ではなくて彼ら彼女らが落とすものに依存している虫だ。
その正体は次回に。
牛0929_1.jpg
















2020年9月29日 宮崎県 カマキリ目カマキリ科 ヒメカマキリ、カメムシ目ツチカメムシ科 ベニツチカメムシ、カメムシ目ミミズク科 ヒラタミミズク

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九州昆虫観察ツアー 延岡市 [昆虫観察ツアー]

昨夏の四国に続いて今年の昆虫観察ツアーは九州へ。
昆虫写真家新開孝さん、絵本作家伊藤知沙さんとご一緒させていただいた。
今回のターゲットは5種。
今年はコロナの影響で中止かと思われたが、GOTOも始まり感染拡大も縮小気味ということでコロナ対策に万全を期しての開催だった。
残念ながら予約したのがGOTO開始の1日前で対象にならなかったことが残念で仕方がない。

ずっと自粛していたので電車に乗って都内へは半年ぶり、思った以上に羽田のターミナルは閑散としていた。
羽田0928.JPG



















当初は午前中のフライトだったが、コロナで欠航となり振替便が夕方にしかなく初日の予定が大幅に縮小されてしまった。
窓から見た富士山。この後ニュースでこの日が初冠雪と聞いたが、午後4時頃で既に溶けてしまっていたか・・・。
富士山0928.JPG



















宮崎ブーゲンビリア空港に到着後、車で延岡へ。
宮崎0928.JPG



















延岡の夜景の名所、愛宕山の展望台で灯り巡り。
夜景の名所ということでカップルばかりではと少しビビっていたが、数組いたもののそれほどの猛者はおらず若い男同士もいてホッとしたのだった。カメラを持っているので盗撮するのではと思われてはたまったものではない!
展望台までの道脇でまず目に付いたのが落ちていたクリを食べていた「クチキコオロギ」。
クチキコオロギ0928.JPG



















展望台の灯りに来ていた「ウスキクロテンヒメシャク」。
似た種がいるが後翅に突起が無い事やまばらな黒斑から。
ウスキクロテンヒメシャク0928.JPG



















こちらは片翅に傷みのある「シロテンキノメイガ」。
シロテンキノメイガ0928.JPG



















高い位置にとまっていたので下から見上げる構図となった「アシベニカギバ」。
アシベニカギバ0928.JPG



















大物登場!今年初めて見る「アケビコノハ」。
枯葉にそっくりな素晴らしいデザインの前翅とカブトムシのような顔が、毎年見たいと思わせてくれるのだ。
前翅に散りばめられた緑色の斑も絶妙なアクセントになっている。
アケビコノハ0928-1.JPG



















黄色の後翅に黒斑が美しいがなかなか翅を開いてくれない。
突いていただいてようやく見ることが出来た。
いつも飛ばれてしまうのでラッキー!
この日はこのまま延岡泊で、翌日は1つ目のターゲットを探しに再び延岡とさらに2つ目のターゲットを求めて南阿蘇へ。
アケビコノハ0928-2.JPG



















2020年9月28日 宮崎県 バッタ目コオロギ科 クチキコオロギ、チョウ目シャクガ科 ウスキクロテンヒメシャク、ツトガ科 シロテンキノメイガ、カギバ科 アシベニカギバ、ヤガ科 アケビコノハ

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四国昆虫巡り 初見の蛾たち [昆虫観察ツアー]

長らくお付き合いいただいたが、最後の四国昆虫巡りは初見の蛾たち。

石鎚山系の山道のあちこちで飛んでいた黒字に白い模様の小さな可愛い蛾。
なかなか止まらず撮るのに苦労したが、シャクガ科の「シロオビクロナミシャク」というそうだ。
幼虫の食草はツルアジサイ、そういえばブナの大木にも絡んでいたような。
シロオビクロナミシャク0823_1.jpg



















初見ではなく関東でも見られる「キンモンガ」。
昼行性で幼虫の食樹はリョウブなので、たくさんある丘陵で見られてもおかしくないが未だお目にかかれないでいる。
キンモンガ0821_1.jpg



















久万高原町のコンビニの灯りに来ていた「ギンモンスズメモドキ」。
図鑑でしか見たことが無く一度は見てみたいと思っていた種だった。
前翅の白い模様が美しくもかっこいい!
ここのコンビニはとにかくたくさん虫が集まっていて、四国でも有名らしかった。
ギンモンスズメモドキ0821_1.jpg



















四万十町のトンボ王国の睡蓮の池にいた「マダラミズメイガ」。
幼虫は睡蓮の葉を食べるそうで、水に溺れないのかと思ってしまうが平気なようだ。
クロスジマダラミズメイガ0823-2_1.jpg



















この時、成虫のいた近くにあった巣から出てきた幼虫。
巣は睡蓮の葉を紡ぎ合わせて作っていた。
新開さんが持っておられた簡易白バックで撮らせていただいた。
クロスジマダラミズメイガ0823-1_1.jpg



















最終日、山道で見つけていただいた「ギンスジカギバ」。
幼虫の食草はウリノキだそうだ。
ウリノキは山間部の谷筋などに生えるようなので山地性なのだろう。
初めにいた木の葉から飛んで着地した地面は、まさしく翅の模様とよく似た場所だった。
ギンスジカギバ0825_1.jpg



















池のほとりの林縁の下草でスカシバガの仲間が多く見られた。
比較的小さくて見たことが無い種なので調べると「シラホシヒメスカシバ」。
シラホシヒメスカシバ0905-1_1.jpg



















「擬態する蛾 スカシバガ」(むし社刊)によると標高約900~1200mの林道などで採集されており以前は珍品だったそうだ。幼生期や食餌植物は不明のよう。
獅子舞のような顔と中肢をピンと持ち上げる姿勢がユニークだった。
シラホシヒメスカシバ0905-2_1.jpg



















空港への途中、Iさんが道後温泉に行ったことが無いとのことで新開さんのご厚意で立ち寄っていただいた。
僕もここに来たのは数十年ぶりで、本館の保存修理のため屋根が掛けられていた。
道後温泉0825_1.jpg



















松山空港では全く勝手がわからず搭乗手続きにあたふたし、さらに往きの羽田では全く引っかからなかった検査で次々とブザーが鳴りポケットのものすべてを出す羽目になってしまった。
地方の方が厳しいのか?
何はともあれたくさんの初見の虫たちを見ることが出来て、滅多にない大変有意義な夏休みであった。
飛行機0825_1.jpg



















2019年8月21-25日 愛媛県松山市 チョウ目シャクガ科 シロオビクロナミシャク、アゲハモドキガ科 キンモンガ、シャチホコガ科 ギンモンスズメモドキ、ツトガ科 マダラミズメイガ、カギバガ科 ギンスジカギバ、スカシバガ科 シラホシヒメスカシバ

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