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近頃であった擬態した虫たち [自然]

擬態とは自分の体を他のものに似せることで、忍者の如く回りに似せて隠れる事を隠蔽的擬態、逆に目立たせて敵を脅す事を標識的擬態という。

隠蔽的擬態は字の如く周りの環境に体を似せて敵を欺く。
保護色や隠蔽色を纏うことがこれに当たる。

一方、標識的擬態にはベイツ型、ミューラー型、ベッカム型などがある。
ベイツ型は無毒のものが有毒のものの形態を真似る事で敵を欺く。
身近な例では毒のあるジャコウアゲハに毒のないオナガアゲハやクロアゲハ、ガの仲間のアゲハモドキが似ることで鳥などの天敵から逃れ身を守ることが出来る。

ミューラー型は有毒のものが皆同じような形態をすることで敵に有毒であることを認識させ身を守る擬態だ。
例えば有毒なスズメバチやアシナガバチはよく似た色や形で認知度を高め捕食される可能性を減らしているのだそうだ。


そんな前置きをして擬態した虫たちを見てみよう。

コナラの周りを飛び回っていたスズメバチか?
一見キイロスズメバチに見えるが、正体は蛾の仲間の「コシアカスカシバ」だ。
今の時期、樹皮に産卵するためにコナラの根元でよく見られる。
もちろんこの蛾に毒はないが、毒のあるスズメバチに似せていることから標識的擬態の中のベイツ型擬態だ。
この例は、毒でなくても嫌な匂いを出すテントウムシやホタルのそっくりさんが多く見られるなど昆虫の中では多い擬態なのだろう。
コシアカスカシバ0831_1.jpg























葉上で見掛けたのはナナフシの仲間の「ヤスマツトビナナフシ」。
ナナフシの仲間は、前脚を伸ばして葉脈や枝に擬態する隠蔽的擬態。
この個体は葉脈に直角にとまっていたので見つけやすかった。
ヤスマツトビナナフシ0911_1.jpg






















こちらの葉上でもアリかと思いきや、アリに擬態した「ホソヘリカメムシ」の幼虫。
アリは蟻酸を出す事から嫌がられる存在だ。
そういった事から標識的擬態の中のベイツ型擬態だろう。
カメムシなのでもちろん襲われれば臭気を出すだろうが、外見で襲われなければそれにこしたことはないということか。
成虫は飛んでいると一見アシナガバチにも見えることから、幼虫と成虫で擬態する対象を替えていると思われる。

擬態といっても人が見てそう思っているだけなので本当のところはどうなのかわからないが、そう見える進化をしてきた虫たち、凄いではないか!
これら以外の擬態についてはまたの機会に。
ホソヘリカメムシ0911_1.jpg






















2018年9月 東京都 チョウ目スカシバガ科 コシアカスカシバ、ナナフシ目ナナフシムシ科 ヤスマツトビナナフシ、カメムシ目ホソヘリカメムシ科 ホソヘリカメムシ

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