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第38回日本自然科学写真協会SSP展「自然を楽しむ科学の眼2017-2018」開催のご案内 [告知]

私が所属する日本自然科学写真協会の「SSP展」の東京展が、5月19日(金)から25日(木)まで六本木の東京ミッドタウンにある富士フィルムフォトサロンで開催され、様々な分野のプロ、アマチュア写真家の素晴らしい写真が展示されます。

今年も選考いただき出展する運びとなりました。
東京と大阪は全写真を展示、それ以外の各地は展示スペースの関係で各出展者で選別しますので、私の写真が必ず展示されるとは限りませんが見ごたえのある作品ばかりです。

東京を皮切りに全国の会場で下記日程で開催されますので、是非足を運んでいただければ幸いです。
私は24日(水)16:00~19:00、25日(木)13:00~16:00に受付を担当しています。


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エゴノキのゆりかご エゴツルクビオトシブミ [コウチュウ目]

雑木林を歩いていると、ふと甘い香りが漂ってきた。
見上げるとエゴノキの花が咲き始めていた。

その枝先にぶら下がったゆりかご一つ。
葉を切り巧みに巻いた、まさしく匠の技!
このゆりかごは揺籃(ようらん)と呼ばれ、中にはオトシブミの卵が産み付けられている。

孵化した幼虫はこのゆりかごの葉を食べて育つのだ。

昔の人は想いを直接伝えることがはばかられ、巻紙にしたためて意中の人の傍らに落としたという。
それが落とし文。
オトシブミの仲間の中には作った揺籃を切り落とすことから、それが名の由来になったそうだ。
エゴツルクビオトシブミ0511-1_1.jpg



















オトシブミは種によって揺籃を作る植物が決まっておりエゴノキの揺籃の主は「エゴツルクビオトシブミ」。
この種は作った揺籃を切り落とさない。
名前の通り、オスの首はツルのように長いのだが、探せど残念ながらオスは見つからなかった。
ということで写真は揺籃近くで見つけたメス。
エゴツルクビオトシブミ0511-2_1.jpg



















よく見ると左前脚の関節から先がない。
これであの重労働な巻物作りが出来るのだろうか?と心配してしまう。
エゴツルクビオトシブミ0511-3_1.jpg



















2017年5月11日 東京都
コウチュウ目オトシブミ科 エゴツルクビオトシブミ    CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/MT-24EX

まるで銅板細工の様なハッカハムシ [コウチュウ目]

田んぼの畔の草の上に銅色に輝く大型のハムシを見つけた。
この色、大きさは「ハッカハムシ」、今年2度目の遭遇だ。

名前の通りハッカが食草だが、ハッカなどこのあたりにはない。
ハッカはシソ科、シソ科ではカキドオシが周りにあるので納得。

ハムシの仲間に美麗種は多いが、まるで打刻した銅板を歪なく曲線に曲げてその上に整然と黒点を並べたデザインは地味ながらもシックでとても美しい。
ハッカハムシ0511-1_1.jpg



















また、触角や脚のところどころに輝く紫色がポイントとなってさらに美しさを引き立てている。
この色やデザインはいったい何のためにあるのだろう?
このハムシが生きるために何らかのメリットや理由があるに違いないのだが・・・、わからない。

ハムシを見つけたのは先日ゴマダラチョウの幼虫が低い位置で蛹化したエノキのすぐ脇。
蛹を見ると跡形もなく無くなっていた。
人か、獣か?
羽化を見届けられず残念だ。
ハッカハムシ0511-2_1.jpg



















2017年5月11日 埼玉県
コウチュウ目ハムシ科 ハッカハムシ     CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/MT-24X

湿地はハラビロパラダイス! [トンボ目]

干上がった湿地の様子を見に行った。
前回一頭だけ見つけたアジアイトトンボは見つからない。
一方でハラビロトンボは例年通り、まだ多くの未成熟個体があちこちで見られた。
ハラビロトンボ0511-1_1.jpg



















いつからだろういくつかあるうちの数か所の湿地はすっかり干上がってしまった。
ここではクロスジギンヤンマの羽化が見られたのだが、こんな状態では羽化殻は見つからない。
湿地0511_1.jpg



















そんな干上がった湿地を歩いてみると、何と岸辺のあちこちでハラビロトンボが羽化していた。
上の写真中央の草の根元の白いものは羽化したハラビロトンボだ。
ハラビロは乾燥に強いと聞いていたが、本当にその通りでいったいどこで今まで暮らしていたのだろうか?
よくぞこの環境で生き延びていたものだ!
昼前だったが2個体が羽化しているのを見つけた。

ハラビロトンボ0511-2_1.jpg



















水のない厳しい条件下でも命を繋いでいけるハラビロトンボの逞しさには驚くばかり。
その目はどんなことがあろうと、まだまだ続くこれからの未来を見つめているように思えた。
ハラビロトンボ0511-3_1.jpg



















2017年5月11日 東京都
トンボ目トンボ科 ハラビロトンボ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM、EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ

樹上性のクロカタビロオサムシ [コウチュウ目]

雑木林はいよいよ初夏の装いとなって来た。
歩いていると上からブラーッといもむし毛虫がぶら下がって、体や頭にまとわりつく。
ちょっと、気持ち悪い・・・。

そんな幼虫などを好んで捕食しているのが「クロカタビロオサムシ」。
林内の道を横切ったり、木柵の上で捕食している姿が目にとまる。
クロカタビロオサムシ0429-1_1.jpg






















オサムシの仲間の多くは後翅が退化し飛ぶことが出来ないが、このカタビロオサムシの仲間は樹上性で飛ぶことが出来る。クロカタビロオサムシは餌となるブナシャチホコやマイマイガの大発生時に同調して大発生することが知られている。
昨年、今年とよく知られたアオオサムシよりこの種の方が見る機会が多いように思う。
クロカタビロオサムシ0429-2_1.jpg






















2017年4月29日 東京都
コウチュウ目オサムシ科 クロカタビロオサムシ  RICOH WG-4

葉上の緑のクモに鮮やかな赤い卵? [クモ目]

里山の水辺を歩いていると葉上の赤色が目にとまった。
見るとそこにいたのは「ワカバグモ」のオス。
背中に赤いものをしょっている。
何だ?
ワカバグモの卵?、メスはオスの背中に産み付けるのか?
または何かが寄生した卵?
ワカバグモ0509-1_1.jpg






















今度は林縁の葉上でまた鮮やかな赤色が目に入った。
ワカバグモのメスの背中にも同じものが。
どうやらこのクモの卵ではなさそう。

帰って調べると、ワカバグモの体にとりついたタカラダニの1種のようだ。
ダニの図鑑を持ち合わせていないのでnetで見るとクモタカラダニというのがいるらしいが、net情報のみのため残念ながらその真偽のほどは定かではない。

クモにとっては大変迷惑だろうが、この緑と赤のコントラストはなかなか美しい。
寄生されたことでこのクモが死んでしまうのか?
詳しいことは判らない。
ワカバグモ0509-2_1.jpg






















2017年5月9日 東京都
クモ目カニグモ科 ワカバグモ    RICOH WG-4

血い吸いバッタ クビキリギス [バッタ目]

湿地脇の草はらを見ていると足元からバッタが飛び出した。
この時期、成虫のバッタといえば冬を越した数種のみ。
クビキリギス0503-1_1.jpg



















尖った頭と赤い口が特徴のキリギリスの仲間の「クビキリギス」。
噛まれると首がちぎれるまで離さないと言われることが名の由来。
それほど顎の力が強いので、掴むときには注意が必要。
噛んだ血で口が赤く染まったように見えることから血い吸いバッタとも。
例年4月の初旬に鳴き声が聞かれるが、今年は4月末頃だった。
同じ越冬する種でシブイロカヤキリがいるが、口が黒く後ろ脚が短いので見分けられる。
クビキリギス0503-2_1.jpg



















2017年5月3日 東京都
バッタ目キリギリス科 クビキリギス  CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM

キビタキが賑やか! [鳥類]

雑木林はすっかり初夏。
丘陵にもオオルリ、センダイムシクイ、コマドリ、キビタキ、ヤブサメなどの夏鳥たちが渡ってきて美しい囀りを聞かせてくれている。
例年、数も多く夏の間中見られるのがキビタキ。
今日も、あちこちの林内でその声を響かせていた。

ビジュアル的にはオオルリに次ぐ美しさだと思うが、まぁ人により異なるだろうな。
キビタキ0504_1.jpg



















地鳴きは、ヒタキ科特有のヒーヒーヒーにプラスしてグルルルルと特徴的。
囀りは多彩で、ピヨピ、ポッピリリポッピリリ♪、林床のコジュケイに対して樹上のチョットコイ、チョットコイ♪、時折ツクツクボーシ♪と蝉の様な声も聞かれる。
これも聞く人によって、印象は異なるが・・・・。
キビタキ0504-1_1.jpg



















これからは葉もますます茂り美しい姿が見えにくくなってしまうが、夏ならではのキビタキの声は風物詩。
当分の間、楽しめそうだ。
キビタキ0504-2_1.jpg



















2017年5月4日 東京都
スズメ目ヒタキ科 キビタキ  CANON EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ

そろそろ タケウチトゲアワフキ [カメムシ目]

ゴールデンウイークの真っ只中、休みだったのでふと思い立って出掛けた。
といってもそれほど我が家から遠くないバイクで小一時間の都内の公園(狭山丘陵外)。
お目当てはボダイジュの仲間に付くアワフキムシの1種。
4年前に偶然見つけて、ツノゼミかと思い調べてみたら「タケウチトゲアワフキ」だった。

そろそろ羽化が始まっているのではと枝先を念入りに調べて回ったが見つからない。
まだ、葉もあまり出ていないので少し早かったのか。
暫くしてようやく1頭が見つかった。
この日も風が強く、枝が揺れてピンボケ続出。
タケウチトゲアワフキ0504-1_1.jpg



















他にいないかと探すと足元の草にしがみついているものがいた。
草の先端を持って数枚撮ると、振動でポトリ。
落ちてしまうと小さすぎてもう見つからない。
あぁ~残念。
これ以降新たな個体を見つけることは出来なかった。
今年はまだ時期が少し早かったようだ。
タケウチトゲアワフキ0504-5_1.jpg



















この種独特の巣にも色々な形があり面白い。
タケウチトゲアワフキ0504-6_1.jpg



















成虫の形も独創的だが、巣の形もまた秀逸だ。
同じような巣をサクラの枝に作るムネアカアワフキもいるが、タケウチの方が大きくて面白い!
タケウチトゲアワフキ0504-4_1.jpg



















中に幼虫がいる巣の入り口からは名の通り泡がしたたり落ちる。
木の下にいると上から小さな水滴が落ちるのがわかるほどだ。
タケウチトゲアワフキ0504-3_1.jpg



















撮った画像を見ていると幼虫の脱皮殻が写っているのがあった。
終令幼虫はもっと大きいので、それ以下の幼虫のものだろう。
あと1週間くらいすれば、たくさんの成虫や羽化の瞬間が見られるかもしれない。
タケウチトゲアワフキ0504-2_1.jpg



















2017年5月4日 東京都
カメムシ目アワフキムシ科 タケウチトゲアワフキ    CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/430EXⅡ

冬場の渇水にもかかわらず発生してくれた アジアイトトンボ [トンボ目]

そろそろアジアイトトンボが見られてもよいのだが、探せどまだ見つからないでいた。
昨年、一昨年と4月26日には初認していたのだが、昨年の大雨で湿地に流れ込む水路が土砂で埋もれ、半年近く渇水が続いてトンボたちの生存を心配していた。
多く発生していた下流の2つの湿地には地下から水が湧き出ているようで、僅かながら水域が確保されていた。

3月にようやく水路の土砂が取り除かれ、湿地に水が流れ込んだがこのところまた干上がっていた。
僅かにしみ出した上流の水路脇でたくさんの新芽が顔を出していた。
生まれたばかりの淡い色を見ると、とても安らぎほっとする。
湿地の芽生え0503_1.jpg



















湿地周りの草むらを歩くと、少し大きくなった「ヒメギス」たちが足元から飛び出す。
なかなか敏感で、近寄らせてくれない。
ヒメギス0503_1.jpg



















「セボシジョウカイ」が強風を避けて草むらの中に避難?していた。
風が無ければ草むらの中の小宇宙をじっくり探索していたのだが残念。
セボシジョウカイ0503_1.jpg



















もう帰ろうかと思った矢先、ようやく1頭の「アジアイトトンボ」が目の前を横切った。
まだ未成熟なメスのようだ。
およそ1週間遅れの確認だが、ほっと一息。
今年は数は見込めないかもしれないが、何とか種を存続してほしいものだ。
毎年多く見られる希少種のキイトトンボはどうだろうか?
アジアイトトンボ0503_1.jpg



















2017年5月3日 東京都
バッタ目キリギリス科 ヒメギス
コウチュウ目ジョウカイボン科 セボシジョウカイ
トンボ目イトトンボ科 アジアイトトンボ
CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM、EOS50D EF70-200mm F2.8 L IS USM/EXTENDER EF 1.4×Ⅱ