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続・ウスタビガに寄生したものは? [ハチ目]

2月18日に採取した寄生されたウスタビガの繭をジプロックに入れて室内で保存しておいた。
3月11日、同僚からハチが羽化したとの連絡があり、その翌日に確認した。
11日は9頭、12日には34頭が羽化していた。
その後、日に日に羽化数は増え16日現在ではなんとその数約80頭に及んでいる。
1つのウスタビガの繭からこれほどのハチが生まれてくることに驚いた。
1頭の母蜂がこれだけの数を産んだのか、それとも数頭が産んだのかはわからないが、ただ多産ということはこの種にとって生き抜くことが厳しい証しなのだろう。
それにしても1頭のウスタビガの蛹がこれだけのハチたちを養うということに生き物同士、種と種の繋がりを再認識させられた。
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繭にはハチが穿った2か所の穴が開いておりそこから出てきたようだ。
発見時、中を確認するのにカッターで縦に切れ目を入れていたが、そこからは出ていない様子。
繭は繊維質ではあるがイラガの繭のように固くはないので、穿つのは彼らにとって容易なことに違いない。
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袋の中では、数頭が交尾をしていた。
どのオスとメスも逆体勢で交尾を行っていることから、これがこの種にとってスタンダードなのだろう。
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当初蛆虫の幼虫だったため、ハエかハチかと思っていたが、FBでハチに1票入れていただいた方、昆虫写真家の新開孝さんからは過去に経験されたことからヒメバチの1種ではないかと連絡をいただいていたがその通りだった。

調べてみるとwebで神奈川県立生命の星・地球博物館の学芸員渡辺氏の論文を見つけた。
それによると、ウスタビガに寄生する寄生蜂は体長30mmを超えるものでは以前の記事に写真を載せた1繭に1個体のコンボウアメバチ。
体長が15mm以下で1繭から複数個体羽化するものとしてウスタビガフシヒメバチ、エゾマツフシオナガヒメバチ、アカアシカレハフシヒメバチ、サクサンフシヒメバチの4種がいるという。
羽化したハチの体長はオスで7~9mm、メスで12~15mm。
特長を確認したが、ウスタビガフシヒメバチの可能性が高そうだ。
念のために標本を送って同定していただくこととした。
何せ小さいので、老眼鏡とルーペを駆使しても1号針を刺すのがどうにも大変であった。
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2017年3月16日 東京都
ハチ目ヒメバチ科 ヒメバチ.sp
CANON EOS50D SIGMA 17-70mmDC MACRO HCM、EOS50D EF100mm F2.8L IS USM/MT-24EX