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伐採した切り株にクロナガタマムシ [コウチュウ目]

3月にある谷戸の雑木林の一部が伐倒された。玉切りされた木はこの後すべて運び出された。
高く伸びたコナラが枝を張り夏は暗い林床だったが、さてどんな変化が訪れるかと楽しみにしていた。
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久しぶりにその場所に行ってみると、光が注ぐ林床にはアケビやドクダミ、ノイバラなどが生育していた。
切り株を見て歩いていると、「クロナガタマムシ」の交尾ペアを見つけた。
クロナガタマムシ0601_1.jpg



















コナラなどの新しい伐採木や倒木に産卵に集まる地味だがなかなか美麗な小型のタマムシ。
下の青い色がメスで上の赤い色がオス。
オスメスでこういう色なのかと思ったが、調べると地域によって色の変異は多彩のようだ。
クロナガタマムシ0601-1_1.jpg



















それぞれの色の輝きも素晴らしく、ほっそりとしたスタイルは全くもって羨ましい!
クロナガタマムシ0601-2_1.jpg



















単独の個体がいたが敏感で、近寄るとすぐに飛んで行ってしまう。
他にもペアが見られたが、このペアが最も撮り易かったのでかなりひつこく付きまとってしまった。
そのせいでしまいには交尾を解きそれぞれ飛んで行ってしまった。
申し訳ないことをしたが、オスの腹の綺麗な色を撮ることが出来たのは個人的に収穫だった!
クロナガタマムシ0601-3_1.jpg



















60~70年経ったコナラやクヌギの2次林は、先に述べたように暗くて林床の植物相も貧相だ。
こうして伐採することで、明るい環境を好む植物が入りそれを食草とする昆虫、さらにその虫を食べる上位の種も増える。
この場所でこの種が見られたのもそのお蔭だ。
しかしこれだけ年を経た木々では萌芽更新はなかなか望めないが、ここでは雑木林の若返りの為に実生を育てていた。

木を切ることをよく思わない方もいるが、元来2次林の雑木林は人の生活と密着して手を入れることで多くの生き物たちが棲む豊かな雑木林として保たれてきた。
現在雑木林は、人の生活と離れさらに金銭的な面で更新出来ない場所がほとんどで多くの問題を引き起こしている。
以前のような人と雑木林の良い関係を取り戻すことは、よほどの強い思いと人の繋がりがない限りもはや難しいのだろうと改めて思う。

2016年6月1日 埼玉県
コウチュウ目タマムシ科 クロナガタマムシ     CANON EOS70D EF100mm F2.8L IS USM/内臓ストロボ